著者
桑原 聡
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.100, no.8, pp.2275-2281, 2011 (Released:2013-04-10)
参考文献数
15
被引用文献数
3 1

Crow-Fukase(POEMS)症候群は形質細胞の単クローン性増殖に伴い,多発ニューロパチー,浮腫・胸腹水,臓器腫大,内分泌障害,皮膚症状(色素沈着,血管腫),M蛋白血症などを呈する全身性疾患である.患者血清中には血管内皮増殖因子(VEGF)の著明高値がみられ,VEGFが有する強力な血管透過性亢進,血管新生作用により多彩な臓器病変をきたすことが想定されている.症状の多彩さから初診は循環器,呼吸器,消化器,腎臓,内分泌,神経,血液の内科系の各診療科の多岐にわたるが,この疾患の認知度は未だ高いとは言えず,早期診断に至らない患者が多数存在する.致死率の高い重篤な疾患であるが,従来型の副腎皮質ステロイドによる治療から,2000年以後に自己末梢血幹細胞移植を伴う大量化学療法,サリドマイド療法などの新規治療が導入されて以来,機能予後,生命予後は飛躍的に改善している.本症候群は治療可能な疾患であり,一般内科および各内科サブスペシャリティーにおいて見逃してはならない疾患として認識されるべきである.

言及状況

外部データベース (DOI)

Twitter (1 users, 1 posts, 0 favorites)

https://t.co/f5LmtjscSR Crow-Fukase症候群の病態解明において 1996 年の患者血清中VEGF高値の発見はブレイクス ルー。治療に関してまず行うべきことは移植療法,サリドマイド療法に対する体系的な治療ガイドラインを作成し,各症例についての治療効果と有用性についての知見を蓄積していくことが必要

収集済み URL リスト