著者
乙部 延剛
出版者
日本政治学会
雑誌
年報政治学 (ISSN:05494192)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.2_236-2_256, 2015 (Released:2018-12-15)
参考文献数
33

政治理論は現実の政治に対してどのように関わっているのか。本稿では, 現在の政治理論が現実政治に即していないと批判する政治的リアリズムの議論を検討し, その射程と可能性を明らかにすることを目指す。バーナード・ウィリアムズ, レイモンド・ゴイスらを中心とした政治的リアリズムの潮流は, 過去10年ほど英語圏を中心とした政治理論の世界で大きな注目を集めているが, その主張内容には曖昧さが残り, 議論も続いている。本稿ではウィリアムズ, ゴイスが説く 「現実政治」 の曖昧さに注目し, それが通常政治としてイメージされる権力行使にとどまらない広範なものであり, 特定の領域への固定化に抗するものであることを明らかにする。現実政治の境界を定義できないという問題は, 現実と理論の二分法という, 政治理論で通常想定されてきた区分を揺るがすが, このことは, 必ずしもリアリズム政治理論の破綻を意味するものではない。むしろ, 固定不可能な 「政治的なもの」 を明るみに出すことを旨として, リアリズム政治理論はその独自性を主張することができる。

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政治的リアリズムについては、乙部さんの「政治理論にとって現実とはなにか」も。こういうものがすぐに読める環境というのは素晴らしいですな。 https://t.co/gxXsnixwgw

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