著者
福原 正人
出版者
日本政治学会
雑誌
年報政治学 (ISSN:05494192)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.2_224-2_245, 2018 (Released:2021-12-26)
参考文献数
47

民主主義は, どういった決定単位を採用するべきなのか。こうした問いは, 意思決定の母体集団, つまりデモスを特定する課題として, 「民主主義の境界問題」 と呼ばれる。しかし, 同意という現実の手続きは, その個別性ゆえに, 正しいと評価しえない母体集団を特定する一方, 集団構成や行為主体性に注目する境界画定の正当性は, その一般性ゆえに, アジェンダごとの考慮事項に耐えられる母体集団を特定できない。そこで本稿では, D. エストランドが定式化する 「適格な受容可能性」 という正統性条件を参照しながら, アジェンダごとの考慮事項を織り込む仮説的な手続きが, アジェンダごとの母体集団内部における意思決定のみならず, 意思決定の母体集団それ自体を構成する作業に適用されることで, 境界画定の正当性を担保する 「理に適った境界画定」 を構成することを擁護したい。

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