著者
山口 晃人
出版者
日本政治学会
雑誌
年報政治学 (ISSN:05494192)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.2_100-2_124, 2020 (Released:2021-12-15)
参考文献数
32

政治哲学において、政党は長らく注目されてこなかった。政党が民主主義論の研究対象として前景化されたのは、ここ十年ほどのことである。本稿では、近年の政治哲学における政党研究の主要な議論を再検討することで、立法過程における議会政党の存在意義を明らかにすることを試みる。その結果明らかになるのは、政党は情報提供者として立法過程に不可欠であるが、最終的な意思決定者であるべき積極的な理由を持たず、むしろ政党が最終的な意思決定者になるべきではない一応の理由が存在するということである。その上で、既存の選挙制議院 (選挙院) に加え、無作為抽出された一般市民からなる抽選制議院 (籤院) を設置する選挙院・籤院構想を提示し、それによって政党が意思決定者となることに伴う問題を回避できることを示す。

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[あとで読む] 「政党は情報提供者として立法過程に不可欠であるが、最終的な意思決定者であるべき積極的な理由を持たず、むしろ政党が最終的な意思決定者になるべきではない」ふむ、読みたい

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少しずれるが,実際,(規範的な)「民主主義理論」の分野でも政党の評判が良かったとは思えない.最近でこそ英語圏で政党や党派性を扱った業績が割と出ているようだけれど.こちらはそれらについての日本語での貴重な検討.https://t.co/5uHcihcMRZ
政党の存在意義って何?で検索して出てきた論文、面白かった。 https://t.co/lfnB1C6oWo
@namaame_kaede 選挙制議院+抽選制議院の二院制構想の場合、こうしたバイアスをなくすことはできないですが、抽選制議員は、少なくとも党議拘束に縛られないという利点があります。拙稿(https://t.co/2VKN6DcPiz)の第4節も、そのような観点から、二院制構想を擁護しています。

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