著者
中村 三春
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.36, no.11, pp.1-11, 1987-11-10 (Released:2017-08-01)

太宰治初期の代表作「道化の華」は、心中未遂を犯し自分だけ助かった主人公大庭葉蔵の物語であるが、同時に、その物語を語る語り手が、自分自身の語る物語の内容や構成に関する注釈を縦横に加える構造になっている。これは、小説創造と小説創造に関する陳述の同居という、いわゆるメタフィクションの定義に完璧に合致する典型的テクストである。本稿ではメタフィクションの一般理論に照らして、この作品に再検討を加えてみた。

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100日目 #寝る前に論文読む 中村三春/「道化の華」のメタフィクション構造 https://t.co/vywBorq4Ps ・人生においても芸術においても、世間的常識や権威に支えられた表層的な真実性や直接性は欺瞞であり、卑下され軽視されるいわば異化された非直接性のなかにこそ、汲み尽くせぬ真実がある。

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