著者
高木 信
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.41, no.12, pp.1-13, 1992-12-10 (Released:2017-08-01)

『平家物語』の「剣巻」は、『愚管抄』的な認識と似て、宝剣が海底に沈んでも王権は安泰であると主張するものとして位置付けられる。また構造的には、アマテラス・宝剣を<聖なるもの>として形象化する。ところが、スサノヲに退治されたヤマタノヲロチが復活し、宝剣を奪うことにより、王権の正統性は奪われてしまう。このことは覚一本の<カタリ>のなかで実現されるのであり、他の諸本は「王権の物語」としての自らを維持しようとするために様々な不整合を抱え込むことになる。

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「『平家物語』「剣巻」の<カタリ> : 正統性の神話が崩壊するとき」高木信氏 https://t.co/SeumQYonJw

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