著者
村上 克尚
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.59, no.6, pp.34-43, 2010-06-10 (Released:2017-08-01)

本稿は、大江健三郎の「飼育」を、動物として殺される黒人兵の側から読み直す試みである。江藤淳は、近代主義の立場から、主体になれないものの排除を正当化し、三島由紀夫は、反近代主義の立場から、動物の死の瞬間に存在の連続性の開示を見て取ろうとした。しかし、「飼育」の内在的な読解から導出される反復と境界攬乱の主題は、共通の言葉を持たないもの、不在のものとの関係の重要性を提起する。この主題の捉え損ねは、六〇年代の江藤・三島の言説への批判的視座を提供するものである。

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大江健三郎の「飼育」、読み直したい。 https://t.co/Mm6DI0dvHV 「言葉を奪われた動物」という論文があった。 https://t.co/LSB37VA7CQ
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