- 著者
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尾西 康充
- 出版者
- 日本文学協会
- 雑誌
- 日本文学 (ISSN:03869903)
- 巻号頁・発行日
- vol.64, no.11, pp.25-35, 2015-11-10 (Released:2020-12-02)
石川達三は、中央公論社特派員として、陥落後の南京にでかけ、京都第16師団津歩兵第33連隊の兵士に、直接取材した。凄惨を極めた戦闘では、婦女子への暴行や一般市民の虐殺などがみられ、達三はそれらの事実を小説「生きてゐる兵隊」のなかに描いた。しかしすぐに発禁処分となって、作家本人も新聞紙法違反に問われることになった。一九三〇年代の検閲の諸相を、中国の状況をふまえながら論述する。