著者
永井 聖剛
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.67, no.6, pp.23-35, 2018-06-10 (Released:2023-07-01)

一般に、田山花袋文学におけるニーチェ思想の影響は、「美的生活論」(高山樗牛)を経由した「本能の満足」の主題化として認識されている。本稿が考察するのは、ニーチェの同時代読者としての花袋が、その弱者道徳批判(ルサンチマン)の思想をどう摂取し、小説作品に取り込んできたかである。そこで明らかになったのは、花袋がニーチェ思想を明らかに誤読し、そればかりか、〈自然〉の名のもとに、弱者を救済する反ニーチェ的な思想を構築していたことである。ただしそれは、花袋のオリジナルの思想というよりは、樗牛、蘆花らの同時代テクストとの相互関連性のなかで育まれたものであった。

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永井聖剛「〈自然〉のインターテクスチュアリティ――田山花袋はニーチェをどう読んだか――」(「日本文学」2018年 67巻6号、日本文学協会)https://t.co/XU848JzdRp

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