著者
澤村 美幸
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.4, no.4, pp.16-31, 2008-10-01 (Released:2017-07-28)

本稿では,民俗儀礼語彙の中から<葬式>という項目を選び,その方言分布の形成に,「葬送儀礼の実態との関連」,「位相との関連」といった社会的要因がどう影響しているのかを探った。方法としては,まず全国調査の結果に基づいて<葬式>の方言分布を明らかにした。次いで,方言分布と文献上の歴史との総合から,<葬式>を表す方言の歴史を構成すると同時に,問題点についても指摘し,葬送儀礼の変遷との対応からそれを解決した上で,結論を導いた。その結果,<葬式>の方言分布に現れた「オクリ」,「ダビ」・「ダミ」,「ソーレイ」・「ソーレン」,「トムライ」,「ジャンボン」,「ソーシキ」といった名称は,庶民層における葬送儀礼の変遷の3段階に対応する形で展開し,それが方言分布の形成に反映していることがわかった。また,位相を超えた名称の普及が,方言の形成につながっていることも明らかになった。

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秋田で「ダミ」が葬式のことを指すというの、荼毘の変化なのかなと検索してみると興味深い記述があった。(リンク先pdf) https://t.co/iosxEKiJLs https://t.co/5W1mDGrEge

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