著者
伊澤 栄一
出版者
認知神経科学会
雑誌
認知神経科学 (ISSN:13444298)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3-4, pp.248-254, 2008 (Released:2011-07-05)
参考文献数
21
被引用文献数
1

【要旨】我々ヒトの知性は、大きな大脳皮質を条件とした霊長類固有の進化の産物だろうか。近年のカラスの認知研究は、知性が進化の中で独立に現れる可能性を示している。霊長類学から生まれた“マキャベリ的知性仮説”が挙げる「大きな大脳」「複雑な社会」は、カラスにも見られる。鳥の大脳には層構造がなく、一見大脳皮質をもたないが、それと相同な「外套」が発達しており、中でもカラスは連合野の発達が著しい。また、カラスは競合と協力が入り混じった社会を形成し、複雑な社会交渉の下地を備えている。これらは、霊長類に限らず、社会的知性は進化の中で独立して現れ、それは必ずしも大脳“皮質”を必要としない可能性を示唆している。

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