著者
小島 順子
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 第60回日本農村医学会学術総会 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
pp.62, 2011 (Released:2012-02-13)

多くの認知症患者が入院する当療養病棟では、毎日の食事、おやつを兼ねたレクレーション、個別リハビリ以外ではベッドに休んでいることが多く、刺激が少ない入院生活を送っているのが現実である。 今回、長谷川スケール1点の重度認知症患者A氏に対し、変化のない入院生活の中でも、居心地がよく、笑顔が見られることを目的とした絵本の読み聞かせを1日15分程度、間隔をあけることなく7回実施した。この読み聞かせを行なう事によって、A氏の表情や普段は聞かれない言葉、認知症になってしまったA氏自身の気持ちをうかがわせる言葉を聞くことが出来た。又、家族の中で娘さんしか認識できず、面会時のみ「おねえちゃん」と呼んで笑顔を見せていたA氏であったが、絵本の中の場面を繰り返し読み進めるうち、娘さんが絵本の中に出てくるような言葉が聞かれ、面会時だけでなく何かのきっかけを与えることにより、家族を思い出すことが出来、それを表現する能力が残っていることに気づいた。 この研究を通して、重度の認知症患者であり、単調で刺激の少ない入院生活であっても、本人にとって快適な環境に置いてあげることや、興味があることを繰り返し行なう事で良い結果が得られたので報告する。

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