著者
中村 善行 増田 亮一 藏之内 利和 片山 健二
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.10, pp.433-438, 2016-10-15 (Released:2016-11-30)
参考文献数
24
被引用文献数
1 2

糊化開始温度の異なるデンプンを含むサツマイモ3品種(「ベニアズマ」,「ほしキラリ」,「クイックスイート」)の塊根を蒸した後に残存する総アスコルビン酸の含量をデンプン糊化度およびマルトース含有率と併せて測定した.糊化開始温度が約75℃の「ベニアズマ」,約65℃の「ほしキラリ」,約55℃の「クイックスイート」の総アスコルビン酸残存率はそれぞれ約57%,約71%,約80%で,糊化開始温度の低い品種ほど残存率が高かった.一方,細胞内デンプンの糊化およびマルトース生成が認められる塊根加熱温度は糊化開始温度が低い品種ほど低く,マルトース含有率が高いほどアスコルビン酸残存率が高くなった.これは加熱塊根におけるマルトースの存在がアスコルビン酸の分解抑制に関与することを示していると考えられた.さらに,加熱してもマルトースが生成しないサツマイモ「オキコガネ」やジャガイモの総アスコルビン酸残存率は約50%と上記3品種より低かった.以上の結果から,蒸したサツマイモではマルトース生成が総アスコルビン酸の含量低下を抑制すること,およびデンプン糊化温度の低いサツマイモ品種はアスコルビン酸含量の維持に有効であることが示唆された.

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