著者
飯田 高
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.242-256, 2017 (Released:2018-03-27)
参考文献数
53

本稿の目的は,社会現象としての法が数理モデルのなかでどのように表現されうるかについて,社会規範研究と対比させる形で検討することである.まず,社会規範と法をめぐる近年の議論を概観しながら法の位置づけを整理し,経済モデルを含む数理モデルにおける法の捉え方の問題点を指摘する.そこでは,公的機関は法が成立するための必要条件ではなく,実際の法制度は多数のアクターの行動が調整されてはじめて作動する,という点が強調される.次いで,集合的なサンクションによって規範が実効化される様子を描写した簡単なモデルを提示し,社会規範と法の違いを表す方法について述べる.社会規範と法はどちらも,他者の行為に関するプレーヤーの信念を形成してサンクションという集合的行動を容易にするという機能をもっており,その点で連続性を有する.この連続性を考慮した法の定式化を示すとともに,人々の信念の変更によってのみ法は行動に影響を及ぼしうるということを論じる.

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あとで読もう 飯田高「数理モデルにおける法 : 規範と法 (特集 社会規範への数理社会学アプローチ)」理論と方法 32(2), 242-256, 2017 https://t.co/SFLdGqt2Do

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