- 著者
-
加賀 佳美
- 出版者
- 一般社団法人 日本小児神経学会
- 雑誌
- 脳と発達 (ISSN:00290831)
- 巻号頁・発行日
- vol.54, no.3, pp.176-179, 2022 (Released:2022-06-28)
- 参考文献数
- 15
神経発達症は,ADHD,自閉スペクトラム症(autistic spectrum disorder;ASD),限局性学習症(specific learning disorder;SLD)が代表的であるが,それぞれ重なり合って様々な病態を示すことが知られている.ADHDでは,30~40%にSLDを併存するといわれるが,その特徴や病態については明らかではない.そこでSLDとADHD併存の特徴を知るために,SLD 120名について単独群と併存群の2群に分け比較検討した.単独群では読字と書字両方の障害が強く,併存群では書字の障害が強い傾向を認めた.実行機能障害,ワーキングメモリの障害は併存群だけでなく,単独群でも伴っていた.それぞれの併存に目を向け,症例ごとにその病態を評価し,支援に生かしていくことが重要である.