著者
宇佐美 真一
出版者
一般社団法人 日本耳科学会
雑誌
Otology Japan (ISSN:09172025)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.149-158, 2020 (Released:2021-04-05)
参考文献数
33
被引用文献数
3

現在,残存聴力活用型人工内耳(EAS: electric acoustic stimulation)は低音部に残存聴力を有する高音障害型難聴患者に対する標準的な医療として定着している.本総説では聴力温存手術の現状とともに,聴力温存に関与するいくつかの因子(手術アプローチ,電極の種類,長さ,挿入深度,電極挿入スピード,ステロイドの使用,年齢,蝸牛長,蝸牛容積,遺伝的要因)について我々のデータを中心にこれまでの報告と合わせ検討を行った.EAS手術の際には,聴力温存に関与する因子を踏まえ,その患者にとって最適な治療,デバイスの選択をすることが重要である.EASの基本にある残存聴力温存(hearing preservation)の概念は,内耳の構造保存(structure preservation),聴神経(ラセン神経節細胞)の保護という観点からもすべての人工内耳に通じる考え方として重要である.

言及状況

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人工内耳界隈で、今はEASなんだという主張があるようですが、EASが一般的になったということではまだなくて、そういう選択肢も採れるようになったというのが正しいのでは?人工内耳擁護したいあまりにちょっと走りすぎの感が。 https://t.co/qgwUoMCuie
@VVdGdgIx4gK9Z5N @PJ81477921 こちら宇佐美先生が書かれたものですが、聴力温存のこと分かりやすくまとめられています。 https://t.co/d4rNwNpxtR
@AKKO58406400 分かりやすい記述があったのでご紹介させていただきます。これによると低侵襲手術が残存聴力活用型人工内耳の前提と読めます。 『低侵襲手術法の開発(中略)手術後も安定的に残存聴力が温存できるようになった.(中略)残存聴力活用型人工内耳が標準的な医療として定着』 https://t.co/xeAyPPWzWZ

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