著者
松久 威史 津久井 拓
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
雑誌
Progress of Digestive Endoscopy (ISSN:13489844)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.31-36, 2006-12-05 (Released:2013-08-28)
参考文献数
11
被引用文献数
1

Helicobacter pylori(H. pylori)除菌治療後の血清抗H. pylori IgG抗体価低下率,抗体価陰性化までの期間とその頻度を観察した。対象は一次除菌治療に成功した519例である。血清抗体価の測定は,スマイテストELISA[ヘリコバクター]‘栄研’を使用し,H. pylori除菌前,除菌治療開始2カ月後,6カ月後,1年後の内視鏡検査時に行い,その後は年に1度の内視鏡検査時に実施した。除菌開始2カ月後の血清抗体価は32.0%低下し,3,6カ月ではそれぞれ61.4%,65.4%低下していた。H. pylori再陽性化例の存在,有意差の観点より,除菌判定には除菌6カ月後の抗体価測定が有用であることが示された。これを除菌前抗体価別にみると,400U/mL以下では60.1%,400U/mL以上800U/mL未満では67.4%,800U/mL以上では69.7%低下していた。対象症例中,抗体価陰性化例の平均期間は17.9カ月,判定保留例のそれは12.6カ月であった。両群とも抗体価の高い例(400U/mL以上)で抗体価低下率が大きかったが,抗体消失,低下には時間を要した。抗体価の累積陰性,判定保留率は除菌開始2カ月後で3.3%,除菌12,24,36,48,60,72カ月後,最長観察の77カ月後でそれぞれ14.1%,19.7%,22.0%,22.7%,23.1%,23.3%,23.5%であった。除菌成功後抗体陰性化には長期間を要した。血清抗体測定法を除菌直後の除菌判定に用いることは出来ないが,除菌成功後の経過観察に用いるのは有用と思われた。血清抗体法の長所,短所を熟知し,本法を使用すべきである。

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