著者
辻上 弘
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.46-54, 2002-03-28 (Released:2010-08-25)
参考文献数
18
被引用文献数
4 3

オゾンは強力な酸化作用を有する気体で, その殺菌効果は様々な分野に応用されている。現在, 医科領域では, 末梢血液循環障害, 潰瘍, ウィルス感染症等の治療にオゾンが用いられている。本研究は, 歯周組織由来細胞ならびに歯周病原細菌に対するオゾン治療の影響について検索し, 歯周治療におけるオゾンの有用性を明らかにすることを目的とした。オゾン水処理後の歯周組織由来平面培養細胞に対する細胞傷害性はFDA-PI二重染色法を用いて評価した。浮遊細胞に対しては, オゾン水処理後6時間培養し, 付着した細胞数により評価した。歯周病原細菌および歯肉縁下プラーク細菌に対する殺菌効果はオゾン水処理後, 平板培地に塗抹し発現したコロニー数を計測することにより評価した。その結果, オゾン水による細胞傷害性は, 平面培養細胞に対しては軽微で, 浮遊細胞において著明に認められた。また, 5%ウシ胎仔血清含有ダルベッコ変法イーグル培地 (DMEM) はオゾン水による細胞傷害性を減弱した。これらのことは細胞外基質, またDMEMの含有する血清や有機物がオゾンの傷害に対し抑制的に働くことを示唆するものと考えられる。またオゾン水による殺菌効果は, 歯周病原細菌に対して著明に認められ, 食物残渣や細菌産生物質を多く含む歯肉縁下プラーク中の細菌に対しても, 濃度依存的に効果が認められた。以上のことからオゾン水の歯周治療における有用性が示唆された。

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