著者
林 正義
出版者
日本財政学会
雑誌
財政研究 (ISSN:24363421)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.121-143, 2019 (Released:2021-07-28)
参考文献数
7

大学の学部専門課程で利用される財政学や公共経済学の教科書では,課税が市場に与える効果の一例として,完全競争市場における部分均衡の枠組みを用いた「物品税の効果」が取り上げられている。その典型的な解説は,納税義務が供給者にある場合,物品税によって供給曲線が税率分だけ上方に「シフト」し,シフト後の「供給曲線」と需要曲線との交点が物品税下での新しい市場均衡になるというものである。本稿では,この物品税の効果に関して,1990年以降に出版された財政学や公共経済学の教科書111点がいかなる解説を行っているかを検証する。そして,多くが必ずしも正確に解説しているわけではなく,場合によっては読者(学生)を誤った理解へと誘導しているおそれがあることを指摘する。

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