- 著者
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竹本 亨
赤井 伸郎
沓澤 隆司
- 出版者
- 日本財政学会
- 雑誌
- 財政研究 (ISSN:24363421)
- 巻号頁・発行日
- vol.15, pp.163-180, 2019 (Released:2021-07-28)
- 参考文献数
- 13
コンパクトな都市の方が1人当たり歳出は低いが,コンパクトな都市へ再構築することは簡単ではない。しかし,何もせずに手をこまねいていたらならば,今後予想される人口減少によって,今以上にコンパクトでない都市へと変貌(非コンパクト化)してしまう可能性がある。本稿では「基準化された標準距離」を都市のコンパクト化の度合いを示す指標として用いて,人口減少に伴って進む非コンパクト化が財政に与える影響をシミュレーションした。その結果,非コンパクト化による歳出増加額は,全体で2030年度は2867億円,2045年度は5549億円となった。特に,人口規模が小さい市町村において,非コンパクト化の影響が大きく出ることも明らかとなった。さらに,「基準化された標準距離」を現在よりも10%および20%縮小するという政策を実施すると,最大で10%の場合に4568億円,20%の場合に8640億円の削減効果が示された。