- 著者
-
塚谷 裕一
- 出版者
- The Japanese Society of Plant Morphology
- 雑誌
- PLANT MORPHOLOGY (ISSN:09189726)
- 巻号頁・発行日
- vol.8, no.1, pp.59-66, 1996 (Released:2010-06-28)
- 参考文献数
- 10
葉の形態形成のように、現象論的に複雑な生命現象について、その仕組みを理解するためには、形態形成の過程を時間、空間、遺伝子の3つの次元に展開する発生遺伝学という手法は、きわめて有効である。しかし、形態と遺伝子とは遠く乖離しているため、形態学と遺伝学のみを組み合わせた発生遺伝学だけでは、その理解はすぐに限界に到達してしまう。そこで発生遺伝学は、必然的に生理学や生化学、生物物理学の手法をも積極的に取り入れることが求められる。さらに、形態形成の進化までを視点にいれれば、研究は必然的に隣接領域との複合的なものとならざるを得ない。葉の形態形成の仕組みを理解するため、現在とりうる研究手法の現状と、今後の展望について考察した。