著者
西連寺 永康
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.275-288, 1960-12-01 (Released:2010-07-21)
参考文献数
36
被引用文献数
2 or 1

1) 106Ru+106Rhの0.48μcをマウス腹腔内に注射し経日的に体内の放射能分布および排泄をしらべた。投与したトレーサー溶液中にはルテニウムのラジオコロイドの生成は認められず, またロ紙電気泳動によって〔RuCl5 (H2O) 〕-2, 〔RuCl4 (H2O) 2〕-1および〔RuCl3 (H2O3) 〕0などのイオン種の存在が推定された。2) 投与後1日目の血液中における106Ruはその約93%が血漿中にあり, ロ紙電気泳動によって蛋白の分画をおこなうと, アルブミン, β-グロブリンおよびγ-グロブリン相当部分にそれぞれ52%, 34%および14%程度の放射能が認められる。3) 噛投与されたルテニウムは臓器全量については実験開始後10日目頃までは血液, 骨, 筋肉, 皮膚など全身における存在量の大きいものおよび肝臓, 腎臓などに多く, 投与量の10数パーセントないしは数パーセント程度である。中期においてもやはり筋肉, 皮膚, 肝臓, 腎臓, 骨などに多くみられ, この傾向は本実験の終了に至るまで同様であった。4) 臓器内への濃縮度は一般に腹部臓器に高い値を示すものが多く, 副腎, 腎臓, 膵臓, 月刊蔵ならびに脾臓などに濃縮が著しい。ことに腎臓は実験: の全期間を通じて高い値を示した。睾丸, 卵巣などの生殖腺も比較的大きい値をとっている。筋肉, 皮膚, 骨などはそれほど高い値を示してはいない。5) ルテニウムの尿および糞中への排泄は, 最初の2週間以内が急激で投与量の約65% (尿; 約50%, 糞; 約15%)が出される。本実験の終了までの総排泄量は投与量の約80% (尿; 約60%, 糞; 約20%) であ窮つねに尿中への排泄が糞中へのものよりも相当大きい割合で約3~4倍程度であった。これは体内からのルテニウム排泄の主要系路が, 腎臓をとおって尿中へ出されるものであることを示す。6) 体内のルテニウムの残存量を算出して, それによりルテニウムの生物学的半減期と106Ruの有効半減期を求め, それぞれ1, 8, 100日および1, 7.6, 78.5日をえた。またそれらの半減期の部分が占める割合はおのおの30%, 45%および251%程度である。そのほかの臓器についても同様の解析をして生物学的半減期と有効半減期を求めてある。このうち腎臓では24日および22.5日, 骨では2日, 150日および2.0日, 106日 (骨中における総量の約28%に当る部分) であった。これらの値はいずれもICRP勧告のものに比べてかなり長い部分を含んでいる。終りに本研究の実施にあたり終始ご指導とこ激励をたまわった日本大学歯学部長鈴木勝教授: に深く感謝申し上げます。また実験に関して種々有益なご助言をいただいた東京大学理学部斉藤信房教授ならびに東京教育大学理学部池田長生助教授, 本稿のこ校閲をたまわった日本大学医学部森信胤教授に厚くお礼申し上げます。本実験にたいしては本研究室の鈴木智哲氏, 大附敏海氏その他の方々のご助力を得た。また要した費用の一部は文部省科学研究費より支出した。記して感謝の意を表する。

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マ ウ スに お け る放 射 性 ル テ ニ ウム(106Ru)の 臓器 内 分 布お よび排 泄 西 連 寺 永 康 (日本大学歯学部放 射線学教室 ・放射性 同位元素研究室) (昭 和35年10月20日 受 理 https://t.co/LOqKCZxvTv
マ ウ スに お け る放 射 性 ル テ ニ ウム(106Ru)の 臓器 内 分 布お よび排 泄 (昭 和35年10月20日 受 理) https://t.co/LOqKCZgsRv

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