著者
藤井 麻央
出版者
「宗教と社会」学会
雑誌
宗教と社会 (ISSN:13424726)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.1-15, 2021-06-05 (Released:2023-06-24)
参考文献数
35

本稿では、明治中期から昭和初期に金光教が組織を整備する場面で、教会制度と教義がどのように関係していたか、森岡清美の宗教組織論を手掛かりにして考察した。その結果、森岡が日本の宗教運動体の原組織と指摘した信仰の導き関係を媒介とする派閥的結合が制度の間隙を縫って作用していくことがわかった。一方で、教義的にあるべき姿とされた「布教者や教会は神を前にして平等である」ことを体現する水平的結合の教会制度を構築して導き関係を統制する経過も明らかとなった。金光教では「手続き」と呼ばれる導き関係を「純信仰的」なものとして、教会制度において行使することを否定したのであった。このような金光教の中長期的経過を分析することによって、信仰の導き関係を媒介とする派閥的結合と金光教が備える平等観が拮抗する中で、教義が教会制度に対して規範的な力を有しながら両者が相互作用する展開過程が示された。

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