- 著者
-
大場 あや
- 出版者
- 「宗教と社会」学会
- 雑誌
- 宗教と社会 (ISSN:13424726)
- 巻号頁・発行日
- vol.27, pp.17-31, 2021-06-05 (Released:2023-06-24)
- 参考文献数
- 39
本論文は、戦後の新生活運動および生活改善を掲げた諸活動が、地域社会における冠婚葬祭の慣習にどのような影響を及ぼしたのか、山形県を事例に検討するものである。冠婚葬祭の簡素化は最も多く取り組まれ、重要視された項目にもかかわらず、ほとんど成果がなかったとされてきた。そこで実践報告・広報紙等を手掛かりに、最上町における運動の展開と冠婚葬祭をめぐる取り組みを精査した。当時盛り上がりを見せていたまちづくりの一環として町を挙げて着手されたものの、住民の立場や世代等による温度差が次第に浮き彫りとなり、儀礼の簡略化・贈答返礼慣行の「廃止」運動は行き詰まる。方向転換した住民らは衣装・用具・設備の「共同化」を進めるが、それは図らずも「外部化」へと繋がるきっかけとなる。1950年代、新生活運動の文脈において伝統的な冠婚葬祭が客体化されることで、高度経済成長期以降の専門業者普及による変容の前段的過程が用意されたと言える。