著者
冨永 敦 半澤 浩美 野内 孝則 荒山 和則
出版者
日本陸水学会
雑誌
陸水学雑誌 (ISSN:00215104)
巻号頁・発行日
vol.74, no.1, pp.1-14, 2013 (Released:2014-01-27)
参考文献数
53
被引用文献数
8 5

霞ヶ浦の魚類と甲殻類の現存量が漁獲量と同調して減少しているかを検証するため,1986~2005年に霞ヶ浦の北岸と南岸で行われた定置網調査のデータを解析した。その結果,解析対象の魚類38種と甲殻類2種の調査1回あたりの平均入網総重量は北岸,南岸ともに増加し,また,入網1個体あたりの平均体重も増加していた。各種の平均入網重量の経年変化は種によって動向が異なっており,北岸でいえば,アユやニゴイ,コイ,フナ類,チャネルキャットフィッシュなど11種では増加し,ワカサギやクルメサヨリ,ヌマチチブなどハゼ科魚類4種は減少していた。以上のことから魚類と甲殻類の現存量は,漁獲量とは異なり20年間で増加傾向にあることが強く示唆され,現存量を把握するためには漁獲統計に基づかないモニタリング調査が必要といえた。また,この現存量の増加は小型魚の増加によるものではなく,中・大型魚の増加によるものと考えられた。

言及状況

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@Pure5s https://t.co/2SXfTugaPx やや古い(2013年)文献では、バスは変化なし、アメナマ(チャネルキャットフィッシュ)は増加傾向ですね
霞ヶ浦ではフナの現存量の増大と個体数の減少という事態がアメリカナマズ以前から起きている。要するに体サイズが大きくなっているということで、産卵がうまくできなくなった結果、成長投資が大きくなっているか、子がうまく生残できていないのではないかと予想している。https://t.co/NqjP9j433d

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