著者
堀江 宗正
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.91, no.2, pp.229-254, 2017-09-30 (Released:2017-12-30)

二〇〇〇年代に入ってから主に英語圏の経営学で「職場スピリチュアリティ」をめぐって活発な議論が交わされている。本稿はその理論的展開と歴史的意義を明らかにするサーヴェイ論文である。この概念は経営者や従業員を対象とする調査から構築された多次元的概念であり、同時にコミュニタリアン的な徳倫理学の価値観のセットとしても提示される。その構成要素はコミュニティ感覚、従業員の疎外の改善、従業員の多様性の尊重、企業の不正への不寛容などである。だが批判者は企業中心主義、スピリチュアリティの道具化、従業員のコントロールの強化、カルトとの類似、訴訟の増大の危険を指摘する。一連の議論は経済活動と宗教を両立させようとする歴史的な試行錯誤のパターンを反映している。世俗化や近代化を生き延びつつ経済活動を支えてきたスピリチュアル資本の現代的な育成の形とも見られる。最後に日本で研究するべきいくつかの関連テーマについて展望を示したい。

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拙稿「職場スピリチュアリティとは何か」で紹介したが、職場スピリチュアリティは組織と自己の生きる意味が齟齬を来すことを疎外(本来の自分ではなくなること)ととらえ、スピリチュアルな徳目にもとづいたコミュニティを職場に形成することを目指す。徳倫理学の影響が強い。https://t.co/4jitHPOqVm https://t.co/qA7En8o6t8

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