著者
石橋 悠人
出版者
社会経済史学会
雑誌
社会経済史学 (ISSN:00380113)
巻号頁・発行日
vol.79, no.4, pp.481-500, 2014-02-25 (Released:2017-05-17)

本稿は1850年代初頭に開始されたグリニッジ天文台の時報事業に焦点を当て,ヴィクトリア朝イギリスにおける正確な時間の通知・表示技法の変革とその社会的な影響を考察する。時報事業は交通・運輸・情報網の大規模な拡充に伴う正確な時間への需要の高まりを背景に導入され,国内全域に敷設された電信網を駆使して標準時を無償で通知するものであった。このサービスを可能にしたのは,グリニッジ天文台・海軍省などの公的機関と民間の電信・鉄道企業との緊密な連携に基づく設備や技術の使用に関する負担の分散化であった。この運営の枠組みは1860年代末の民間電信システムの国有化によって大きく転換し,1870年には逓信省が時報転送に電線を使用することを埋め合わせるために課金制へ移行する。この有料サービスの普及には明確な限界があったものの,時報は鉄道会社の運行システム,都市自治体が管理する報時球と午砲の操作方法,海軍の航海術などの領域に採用され,イギリス社会における時間通知の様式の改変とグリニッジ標準時の普及を促進するものとなった。

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@st_k2512 以下の資料がイギリスでの標準時普及の初期の取り組みの話でとても面白かったです 全国共通の標準時が無いので、地方の天文台毎に地方時がある状態だったそうで、 それは列車の運行管理上やばいよね…という
19世紀イギリスにおける標準時の普及とその社会的影響 pdf https://t.co/xV82kZPjye
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