著者
井上 芳光
出版者
日本生気象学会
雑誌
日本生気象学会雑誌 (ISSN:03891313)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.61-66, 2004 (Released:2004-11-12)
参考文献数
9
被引用文献数
6

本論文では,なぜ熱中症が子どもや高齢者で多発するのか,そのメカニズムを体温調節から概説するとともに,その予防策を提案した.思春期前の子どもは,未発達な発汗機能を頭部や躯幹部の皮膚血流量の大きな増加により代償する熱放散反応特性を有する.そのため,環境温が皮膚温より低い条件下では,この熱放散反応特性と熱放散に適した体格特性(大きな体表面積/質量比)が相俟って,子どもは深部体温を若年成人と同等に調節できる.しかし,汗が唯一の熱放散手段となる環境温が皮膚温より高い条件下では,子どもの大きな体表面積/質量比が熱獲得を促進するとともに,未発達な発汗機能が大きく影響し,子どもの深部体温は若年成人より大きく上昇する.高齢者の熱放散反応は,老化に伴い皮膚血流量→単一汗腺あたりの汗出力→活動汗腺数と順次低下し,その一連の低下が下肢→躯幹後面→躯幹前面→上肢→頭部と進行する.子どもや高齢者も運動トレーニングや暑熱順化で熱放散反応を改善できるが,その程度は若年成人ほどではない.さらに,これらの特性や熱中症予防ガイドブック(日本体育協会,1993)基づき,適切な水分補給・練習時の休息・着衣などの面から年齢に応じた熱中症の予防策を提案した.

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子どもの体温調整について調べてみた。 子どもが汗っかきに見えるのは体が小さいからで、実は思春期以前は汗腺発達は未熟。替わりに皮膚直下の血管から放熱。ただし気温が皮膚温度より上がると機能しない。顔が赤くなった時はすでに体内温度が上… https://t.co/pDK7ahx1z3
子どもの塩分補給について、やはり気になって調べた。 塩分補給に特化して研究してる人が見当たらないけど井上芳光さんという先生が子どもと高齢者の発汗や熱中症について論文書いてた。 https://t.co/IhWzYLwdxc https://t.co/5XlBhwCPpI
「子どもと高齢者は体温調節が苦手な傾向にある」 https://t.co/vtm4qu9HW0

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