著者
石井 博
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.151-167, 2008-11-30 (Released:2016-09-17)
参考文献数
107
被引用文献数
2

植物が複数の花を咲かせるとき、個花をとりまく送受粉環境は、花序(または株内)の他の花の存在に影響を受ける(=花間相互作用)。すなわち、株内の個々の花は、花間の資源競争、局所的配偶者競争、局所的資源競争、隣花受粉、花粉減価、複数の花が同時に咲くことによる誘引効果の増大や定花性への影響などを通じて互いに影響を及ぼしあう。これまでこうした花間相互作用は、株サイズ依存の資源分配戦略や、植物の繁殖様式の進化を説明する上でしばしば引き合いに出されてきた。最近の幾つかの研究はさらに、花や花序のあらゆる形質(例えば個々の花の性比、花の寿命、花の大きさ、花形態、花序形態など)の進化が、花間相互作用の影響とは無関係でありえないことを示している。このような意味において、多様な花序や花が進化してきた背景を理解するためには、たとえそれが個花の形質であっても、実はそれが花序全体のパフォーマンスを高めるように進化してきた形質なのではないかと疑う視点が、今後ますます重要となるだろう。

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@rei_nari 開花の連動性…たしかにおおよそ整然としてて不思議… 花が順ぐりに咲く機序ではないのですが… 少し古い文献ですが、順ぐりに咲くことの意義/経済学?を考察してて興味深いです→ https://t.co/hraScM49cO

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