著者
野口 麗奈
出版者
日仏経営学会
雑誌
日仏経営学会誌 (ISSN:09151206)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.31-48, 2020 (Released:2020-07-21)
参考文献数
35

本稿の目的は、多国籍企業の産業クラスター活用プロセスを、新規事業参入の観点から考察することである。これまで、産業クラスターの多国籍企業の参入は多くの研究がされてきたが、新規事業における産業クラスター参入についての研究は深化がみられない。そこで、本稿では、ルイ・ヴィトンが2002年に時計事業に参入後、ジュネーヴ・シールを取得するまでの、同社のスイス高級時計クラスターの活用を、企業の国際化の観点から検証した。結果、同社は時計事業参入後、OEM、自社工場設立、地域企業買収、そして工場の拡充と移設という4つのフェーズを経験し、「継続のための製造の礎」、「安定供給のための製造の礎」、「プレミアム化のための礎」、さらに「権威化のための礎」とクラスターの活用手法を変え、業界での地位を確立していった。また、同社はクラスター内で規範的な行動をとりながら、時計ブランドとしての地位を向上させただけでなく、高級時計メイカーとしての技術力を示す複雑機構の時計の開発、認証などを経て、クラスター内ならびに業界での地位を向上させていったことが判明した。

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