著者
千葉 雄介 藤原 茜
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.129-135, 2022-08-25 (Released:2022-08-30)
参考文献数
18

ヒスタミンは食品中のヒスタミン産生菌により産生されるため食中毒予防には微生物学的制御が求められる.ヒスタミン産生量は温度に影響を受けるため,食品の保存温度は4℃以下が推奨される.しかし実際には常に4℃以下を保つことは難しいことから,本研究ではヒスタミン産生菌7菌種について10℃でのヒスタミン産生能の評価を行った.緩衝液中でヒスタミン産生量の経日変化,菌数とヒスタミン産生量の相関,培地中での増殖速度について検討した.緩衝液中において増殖がない一定の条件下において5日保存してもほぼ一定量のヒスタミンを持続的に産生した.菌数とヒスタミン産生量は比例関係にあり,決定係数は0.97以上であった.また,10℃1日の保存により200 μg/mLのヒスタミンを産生するのに必要な菌量は4×107-4×108CFU/mLと算出された.また,培地中において初期菌量が102-103 CFU/mLであった場合,107 CFU/mL以上となるのに低温細菌で2, 3日,中温細菌で4日以上を要した.以上の結果から,ヒスタミン産生菌のヒスタミン産生能,増殖速度を把握することが食中毒の予防に重要であると考えられた.

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