著者
齋藤 惠介 原田 勇希 草場 実
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.107-117, 2020-07-31 (Released:2020-07-31)
参考文献数
27
被引用文献数
1

近年,興味をポジティブ感情(強度)と価値の認知(深さ)から捉える理論的枠組みが提唱されており,強度と深さを望ましい状態に導くことが重要である。また,これまでの大規模調査より,我が国の生徒は理科全般に対する興味の強度に課題があることが示唆されているが,観察・実験に対する興味の強度は比較的良好に保たれていることが明らかになっている。そのため興味に介入する場合,観察・実験を足掛かりにすることが考えられるが,強度と深さのどちらを先行して育成すべきであるかについて未検討な点が多い。そこで,本研究では観察・実験に対する興味の強度と深さに注目し,理科全般に対する興味の強度との関連を検討することを目的とした。結果より,“理科学習に対するポジティブ感情”と“観察・実験に対するポジティブ感情”は別因子として抽出できたため,両興味は並存しえる構成概念であるといえる。また,生徒の観察・実験に対するポジティブ感情が低い状態で深い価値の認知に介入することは,理科全般に対するポジティブ感情をより低減させてしまう可能性が示唆された。このことから,教師は生徒の観察・実験に対するポジティブ感情の強度に応じて,興味の深さに介入していく必要があるだろう。

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もう少し考えると「興味の深さ」に関係する研究(e.g., 田中・市川, 2017)もこのあたりの「楽しい」に関する議論と重なりますかね。齋藤他(2020)も似たような点を指摘していますが、理科全体へのポジティブ感情の質問からは、浅い興味か深い興味かは分からないわけです。https://t.co/jXkSwfbPm7 https://t.co/UoaxivR0FZ
高知大学でポスドクをやっていたときに一緒に研究していた院生が筆頭著者の論文が『理科教育学研究』に掲載されました! 自分が筆頭の論文が掲載になるより1.5倍くらい嬉しいですね。これからはこういう論文を増やしていきたいです https://t.co/Ht4HR2KgT5

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