- 著者
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田中 彰吾
- 出版者
- バイオメカニズム学会
- 雑誌
- バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
- 巻号頁・発行日
- vol.37, no.4, pp.205-210, 2013 (Released:2016-04-15)
- 参考文献数
- 30
- 被引用文献数
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現象学的な観点から運動学習について再考する.現象学的身体論の哲学者メルロ=ポンティは,脳損傷により視覚性失認に陥った患者シュナイダーの症状を分析することで,身体図式の観点から運動障害の本質を明らかにしている.本稿では,この分析を手がかりにして,身体運動の記述に必要な三つの概念(身体図式,身体イメージ,指向弓)を析出する.そして,メルロ=ポンティの考察を順序立てて逆方向にたどることで,運動学習の過程を再考する.学習者は,指向弓を発動させて可能的状況を投射し,身体イメージを通じて運動のシミュレーションを行い,新しく創発する運動を経験し,それを身体図式に定着させてゆく.身体運動のコツをつかむことは,身体図式の再編を経験することなのである.