著者
松浦 由美子
出版者
日本社会学理論学会
雑誌
現代社会学理論研究 (ISSN:18817467)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.57-69, 2020 (Released:2021-08-25)

「自己決定権」の概念は、人工妊娠中絶へのアクセスを求めるフェミニズムの主張の論拠として1980年代後半以降広く使われてきたが、日本のフェミニズムは「権利」の語の使用には積極的ではなく、それはしばしば忌避され、ときには棄却されてきた。フェミニストたちは、自己決定することは胎児の生命の価値を否定するものではない、女性の「自己」とは胎児と別個に存在しているのではない、と繰り返し論じてきたが、「権利」のないその「自己決定」は「決定」の名に値するものなのか。はたして「権利」は中絶をめぐるフェミニズムの言説において本当に必要ないのだろうか。これらの問いに答えるために、カール・シュミット、ジャック・デリダ、エルネスト・ラクラウらの議論を参照して主体と決定との構成的な関係を考察する。それによりフェミニズムが用いてきた自己決定権の主張がはらむ問題点を明らかにし、これまで避けられてきた「権利」概念の必要性を論じたい。

言及状況

外部データベース (DOI)

Twitter (2 users, 2 posts, 1 favorites)

トークイベントで嶋田さんが絶賛していた、フェミニズムの主体と権利について書かれた松浦由美子さんの論文。母性主義フェミニズムを批判し、中ピ連を評価する事の解像度が高まった。嫌なもんは嫌でいいよね。 https://t.co/m9ybKuI7Zf
堕胎罪は現在もあって、その例外に母体保護法がある。NHKのクロ現だと母体保護法だけしかないとミスリードさせる。 女性の権利みたいなものではない。 https://t.co/lRtVMPRsAr

収集済み URL リスト