著者
高木 亨
出版者
The Tohoku Geographical Association
雑誌
季刊地理学 (ISSN:09167889)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.121-136, 2005-10-31 (Released:2010-04-30)
参考文献数
26
被引用文献数
1 1

本研究は, 醤油醸造業者の存立要因の一つとして消費者の醤油嗜好の地域性を想定し, 醤油の生産統計をもとに, 醤油生産の地域的な特徴について考察した。醤油の二大産地は千葉県と兵庫県であり, 千葉県産が関東地方で, 兵庫県産が関西地方で圧倒的なシェアを占めている。しかし, それらの周辺地域ではあまり高いシェアを占めてはいない。全国で広く生産されている醤油は,「濃口」,「本醸造」,「特級」であるが, その生産方式は一様ではなく, 同じ「濃口」でも東北, 北陸, 中国, 九州の各地方では「新式醸造」と「アミノ酸液混合」が多いなどの地域差がみとめられる。これは, 消費者の醤油嗜好の地域的差異の表れと考えられる。醤油の生産と流通の特徴を整理すると, 各都道府県は (1) 県内産醤油の割合が高い「県内産醤油優位型」, (2) 県内産醤油と県外産醤油との割合がほぼ等しい「県内・県外均衡型」, (3) 県外産醤油の割合が高い「県外産醤油依存型」の3つに大別できる。以上の検討から, 醤油嗜好の地域性の一端を明らかにすることができた。

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ちょっと調べて見つけたJSTのレポートより、食糧庁の1992年のデータを基にした濃口しょうゆでの本醸造の割合は78%(現在でも80%前後らしい)、他の新式醸造やアミノ酸駅混合方式も、使っているのは地域による味の嗜好が目的のようですね。 https://t.co/31uQRwmq4J https://t.co/OJCy3hwAia
生産と流通からみた日本の醤油醸造業と醤油嗜好 の地域性 https://t.co/bleCyAJNjk
県別の生産量=県内消費量ではないんだけど、たまり醤油の生産割合が高いのは岐阜だけなので、関西ではたまり醤油が一般的とは言えないと思う。それにしてもどうして岐阜だけ…>論文 - 生産と流通からみた日本の醤油醸造業と醤油嗜好の地域性 - J-Stage https://t.co/X4QRGMtOmM

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