- 著者
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遠藤 英樹
- 出版者
- 観光学術学会
- 雑誌
- 観光学評論 (ISSN:21876649)
- 巻号頁・発行日
- vol.1, no.2, pp.129-144, 2013 (Released:2020-01-13)
人文・社会科学は観光研究も含め、1960年代から1980年代にかけて「言語論的転回」を、1980年代から2000年代にかけて「文化論的転回」を経ながら、みずからのレゾンデートル(存在意義)を刷新してきた。特に人類学、社会学、地理学の領域では、国内外ともに、その傾向は顕著であった。だが現在、これら「言語論的転回」や「文化論的転回」の議論をさらにすすめて、「モビリティー」や「再帰的近代」等に対する問いかけがなされるようになっている。これら人文・社会科学におけるいくつかの転回は、既存の学的な視点によっては「社会的なもの(the social)」の位相を充分にとらえることができなくなってきたがゆえのものだと言える。本稿では、これらをふまえて、現在「社会的なもの」は「観光(tourism)」に明白に現れるようになっており、人文・社会科学は観光論的な視点を積極的に内在化させていく必要があることを主張する。結論として、観光学を、静的・定常的なディシプリンとしてではなく、動的・生成的なディシプリンとして確立していくべきことを呼びかける。