著者
石井 健
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会 第41回日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.S5-5, 2014 (Released:2014-08-26)

「よく効く」ワクチンには、必ずアジュバント、もしくは内因性のアジュバント成分が含まれており、宿主細胞に存在する自然免疫受容体によって認識され、その後の獲得免疫が誘導されることが明らかになってきており、アジュバント(因子)の分子メカニズムの免疫学的、細胞生物学的な理解が飛躍的に進歩しつつある。2011年度のノーベル医学生理学賞が、アジュバントの作用機序に関する自然免疫や樹状細胞研究に授与されたこともあり、基礎研究の裾野も広がってきている。2014年のKeystone Symposiaでは「The Modes of Action of Vaccine Adjuvants」という題目の会が開かれる予定である。また、アジュバントが必要とされるワクチンの臨床応用の対象は感染症の枠を超え、がん、アレルギー、アルツハイマー病など非感染性疾患に広がっており、その開発は世界的に競争が増している。 一方で、アジュバントを含むワクチンの副作用が問題になっている。このような状況において、ワクチンやアジュバントの有効性や副作用の評価方法、指標(バイオマーカー)の構築が切望されている。 我々は、各種アジュバントによる動物実験やヒトのサンプルを網羅的に解析した「アジュバントデータベース」を構築する準備を進めている。本研究では日本が「安全な」アジュバント開発研究で世界のトップに立つために、アジュバントの評価方法の指標 (バイオマーカー)の同定を目的としたアジュバントデータベースの構築、および新規アジュバント開発を行っている。これらのトランスレーショナルリサーチ、とくにマイクロRNAによるワクチンの副作用バイオマーカーの可能性を示唆する知見を発表したい。<最近の著書>“Biological DNA Sensor” Edited by Ken Ishii and Choon Kit Tang Elsevier“Nucleic Acids in Innate Immunity”Edited by Ishii KJ and Akira S CRC press「アジュバント開発研究の新展開」石井健、山西弘一編、CMC出版 2011<最近の代表論文> 1) Kobiyama K et al Nonagonistic Dectin-1 ligand transforms CpG into a multitask nanoparticulate TLR9 agonist PNAS 2014 in press 2) Desmet C and Ishii KJ Nucleic acid sensing at the interface between innate and adaptive immunity in vaccination Nat Rev Immunol 2012 12(7):479-91 3) Marichal T, et al DNA released from dying host cells mediates aluminum adjuvant activity. Nat Med. 2011 17(8):996-1002. 4) Koyama S et al Plasmacytoid dendritic cells delineate immunogenicity of influenza vaccine subtypes. Sci Transl Med. 2(25):25ra24. (2010) 5) Ishii,K.J. et al. TANK-binding kinase-1 delineates innate and adaptive immune responses to DNA vaccines. Nature 451, 725-729 (2008).

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