著者
和泉 浩
出版者
東北社会学会
雑誌
社会学年報 (ISSN:02873133)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.127-147, 2007-07-20 (Released:2013-10-23)
参考文献数
15

本稿の目的は,ウェーバーの『音楽社会学』における西洋近代音楽についての分析の特徴と含意を,合理化のパラドクスという点から明らかにするとともに,『音楽社会学』の潜在的テーマである「音楽的聴覚」の問題の重要性を示すことにある. ウェーバーの音楽社会学の課題は,なぜ西洋近代に合理的和声音楽が誕生したのかを明らかにすることにある.ウェーバーは,都市についての研究と同様に,この課題を古代ギリシアと中世・ルネサンスの音楽の比較から探求した.そして『音楽社会学』では,古代ギリシアと異なるかたちでルネサンス以降進展した近代音楽の合理化が,結果的に古代ギリシア的なものの復活に至る合理化のパラドキシカルな展開が描き出されている. 『音楽社会学』では,『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』での合理化についての考察とは異なり,複数の合理化の方向の関係により生じる合理化のパラドクスが問題になっている.また合理化にアプローチする方法も異なっており,『音楽社会学』では,音楽についての理念や生活態度ではなく,音楽の「技術」に焦点があてられている.この結果,ウェーバーの音楽社会学では,音楽と社会の関係よりむしろ,音楽の合理化の自律的な過程が描き出される.しかし,音楽の技術と表裏一体をなす,社会的に形成される「音楽的聴覚」の問題が,『音楽社会学』の潜在的テーマをなしている.

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今日の“社会学者”が音楽社会学とは〜やったら いかに文化庁が音楽や芸術に金出すべきか に終始しそう。 マックス ウェーバー『音楽社会学』における合理化のパラドクスと「音楽的聴覚」 https://t.co/tj9DxNagFv
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