- 著者
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中南 秀将
- 出版者
- 一般社団法人 日本薬局学会
- 雑誌
- 薬局薬学 (ISSN:18843077)
- 巻号頁・発行日
- pp.ra.2023-1000, (Released:2023-03-08)
- 参考文献数
- 19
近年,抗菌薬が効かない薬剤耐性菌による感染症が世界的に拡大し,公衆衛生および社会経済に重大な影響を与えている.本邦では,2016年に薬剤耐性(antimicrobial resistance: AMR)対策アクションプランが策定され,様々な取り組みが実施されている.病院では,抗菌薬適正使用支援チーム(Antimicrobial Stewardship Team: AST)が組織され,抗菌化学療法認定薬剤師や感染制御認定・専門薬剤師が中心となってAMR対策に取り組んでいる.このようなAMR対策によって抗菌薬の使用量は減少したが,主要な薬剤耐性菌の分離率は減少していない.薬剤耐性菌の分離率を減少させるためには,市中における抗菌薬の適正使用が重要である.本稿では,薬局薬剤師に期待されているAMR対策と,抗菌薬適正使用を推進するために必要な,薬剤耐性菌と抗菌薬の特徴について概説する.