著者
渡辺 伸一
出版者
奈良教育大学
雑誌
奈良教育大学紀要 人文・社会科学 (ISSN:05472393)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.115-125, 2007-10

Environmental cadmium pollution causes cadmium poisoning. The first cadmium-polluted area ever discovered in the world was the Jinzu River basin in Toyama Prefecture in Japan. The most severe case of cadmium poisoning is Itai-itai disease (osteomalacia), which was officially recognized as a pollution-related disease by the Japanese government in 1968, and a less severe case is tubular kidney dysfunction. In other words, the occurrence of Itai-itai disease is only the "tip of the iceberg". The tubular kidney dysfunction is the earliest and most prevalent adverse result of chronic cadmium poisoning. The Japan Public Health Association Cadmium Research Committee, supported by the Environmental Agency, carried out health surveys in cadmium-polluted areas of 8 prefectures during the period of 1976-1984 and reported that many cases of tubular kidney dysfunction were found not only in Toyama but also in Ishikawa, Hyogo and Nagasaki prefectures. However, the Environmental Agency and the research committee have never certified this kidney dysfunction as a pollution-related disease. In 1970, the Japanese government set tentative acceptable standards of 1ppm for brown rice and enacted the Agricultural Land Soil Pollution Prevention Law in 1971. Based on this Law, restoration projects of polluted soils of rice paddies were started. If cadmium nephropathy was certified as a officially pollution-related disease, acceptable standards for brown rice must be more strict than 1ppm, because 1ppm is a standard to prevent habitants from suffering from Itai-itai disease. This new strict standard arrives at increases in polluted rice and soils. This means increases in the expenses to buy polluted rice and to restore polluted soils. To offer indemnity to farmers for any reduction in his rice crop is the responsibility of polluting industries and to pay expenses to restore polluted soils is the responsibility of polluting industries, the central government and local authorities. This paper concludes that the main reason why cadmium nephropathy has not been certified as an official pollution- related disease is that the decision-making of the Environmental Agency and the research committee reflects the intention of the polluting industries and the government who regard the expenses above as too heavy a burden.
著者
稲葉 利江子
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.72-76, 2022-01-15

大学入試センターは,2021年3月24日に公表した2025年に実施する大学入学共通テストの教科・科目の再編案において,「情報」を新たに導入し,国語や数学などと並ぶ基礎教科とする方針を示した.これを受け,FIT2021(第20回情報科学技術フォーラム)において,日本学術会議情報学委員会情報学教育分科会,情報処理学会,電子情報通信学会が主催となり,公開シンポジウム「大学入学共通テスト『情報』が目指すもの」が,2021年8月26日にオンライン開催された.本稿では,公開シンポジウムの内容について報告するとともに,大学入学共通テスト「情報」の動向について述べる.

12 12 12 12 OA 国と女

著者
上原勇作 述
出版者
日本家政協会
巻号頁・発行日
1921

151 103 102 11 OA 外務省発表集

出版者
外務省情報文化局
巻号頁・発行日
vol.昭和35年2月第10号および公表資料集第8号,

690 114 31 9 OA 社会脳の成長と発達

著者
相原 正男
出版者
認知神経科学会
雑誌
認知神経科学 (ISSN:13444298)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3+4, pp.101-107, 2016 (Released:2017-03-25)
参考文献数
20

【要旨】脳の成長とは、脳が大きくなり、安定した構造に近づくことである。生態学の研究から、猿類の大脳皮質の大きさは、群れの社会構造の複雑さ(social size)に比例していることが報告されている。社会適応に必要とされるヒトの前頭葉、前頭前野の体積を3D-MRIで定量的に測定したところ、前頭葉に対する前頭前野比は乳児期から8歳頃まで年齢とともに緩やかに増大し8~15歳の思春期前後で急速に増大した。前頭葉は、可塑性はあるものの脆弱性の期間が長いことが想定される。脳の成熟とは、脳内情報処理過程が安定した機能になることで、神経科学的には情報処理速度が速くなること、すなわち髄鞘形成として捉えられる。生後1歳では、後方の感覚野が高信号となり、生後1歳半になると前方の前頭葉に高信号が進展した。これらの成熟過程は1歳過ぎに認められる有意語表出、行動抑制、表象等の前頭葉の機能発達を保障する神経基盤と考えられる。認知・行動発達を前頭葉機能の発達と関連させながら考察してみると、その発達の順序性は、まず行動抑制が出現することで外界からの支配から解放され表象能力が誕生する。次にワーキングメモリ、実行機能が順次認められてくる。実行機能を遂行するには将来に向けた文脈を形成しなければならない。文脈形成の発達は、右前頭葉機能である文脈非依存性理論から左前頭葉機能である文脈依存性理論へ年齢とともにシフトしていくことものと考えられる。一方、身体反応として情動性自律反応が出現しないと社会的文脈に応じた意思決定ができず、その結果適切な行為が行えないことも明らかとなってきた。

183 116 33 9 OA 顔ニューロン

著者
山根 茂
出版者
日本医用画像工学会
雑誌
Medical Imaging Technology (ISSN:0288450X)
巻号頁・発行日
vol.12, no.6, pp.694, 1994 (Released:2016-03-19)
著者
大池 祐輔
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.5-15, 2021-07-01 (Released:2021-07-01)
参考文献数
15

電子の眼ともいわれるイメージセンサは,その技術進化によってカメラの性能を飛躍的に向上させて,私たちの現在の生活に欠かせないデバイスとなった.CCDイメージセンサの登場でビデオカメラの小型化に成功して以来,CMOSイメージセンサにおける列並列AD変換回路や裏面照射構造の開発によって,その市場は大きく拓かれた.本稿では,スマートフォン普及による小型・高機能化のニーズに応えたイメージセンサの三次元積層技術とアーキテクチャの進化,さらに今後の展望として画素並列回路アーキテクチャやエッジコンピューティングを統合するイメージセンサの技術動向を示す.
著者
池尻 良平 山本 良太 中野 生子 山内 祐平
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S45057, (Released:2021-11-02)
参考文献数
6

本研究では,ICT を利用した,ジグソー法のエキスパート活動における知見の同期的収集が,教師のモニタリングと介入にどのような影響を与えるかを,机間巡視のみの場合と比較して調査した.その結果,内容を含めた俯瞰的なモニタリング,各専門家グループのキーワードのシェア度合いに関する俯瞰的なモニタリングと各グループ内のシェアを促す介入,普段は優先順位の低い上位層のモニタリングを促す可能性が示された.
著者
LOWE David J. PITTARI Adrian
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.130, no.1, pp.117-141, 2021-02-25 (Released:2021-03-18)
参考文献数
122
被引用文献数
2 3

西暦232 ± 10年の晩夏にニュージーランド北島タウポ火山で起こった噴火は,過去5,000年間において地球上で起こった噴火のなかでもっとも強力なものであった。噴火は数日から数週間継続し,5つの明確な降下火砕堆積物(ユニットY1~Y5)に続いて,非常に爆発的な噴火による低アスペクト比イグニンブライト(ユニットY6)が堆積した。降下火砕堆積物の内,ユニットY1,Y3およびY4は水蒸気プリニー式噴火によって形成され,Y2とY5はプリニー式噴火であった。Y5とY6は一連の噴火で形成され,非常に強いY5噴火による噴煙柱は高度35-40 kmに達し,それが崩壊することによって非常に高速(600-900 km/h)で高温(最高500°C)の火砕密度流が発生し,ユニットY6が堆積した。このイベントによる堆積物は噴火後十数分で北島中央部の約20,000 km2に及ぶ範囲を覆い尽したと考えられる。また一連の噴火によるマグマ噴出量は約35 km3と見積もられている。この噴火による周辺環境への影響は甚大であり,現代においても農業などの土地利用において火山ガラスを多く含み,コバルトなどの微量元素に枯渇した土壌への対策が必要となっている。
著者
渡辺 理仁
出版者
一橋大学大学院法学研究科
雑誌
一橋法学 (ISSN:13470388)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.299-333, 2021-07-10

In the Byzantine Empire, Roman law had been applied prior to its rediscovery in the twelfth century. However, it is sometimes pointed out that Byzantine law deviate from Corpus Iuris Civilis. The eighth century small code Ecloga is a typical example of that. This begs the question of whether it is appropriate to position Byzantine law definitely in terms of continuity with Roman law or not. In this paper, I provide an overview of Ecloga and examine its divergence from the Principles in Roman Law that have been identified in previous studies. I then translate the related materials and compare the provisions in the Corpus Iuris Civilis and Ecloga, examining the differences between them and presenting some conclusions.
著者
小林 秀司 織田 銑一
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.189-198, 2016 (Released:2017-02-07)
参考文献数
76

ヌートリアが日本に定着した原因は,太平洋戦争における毛皮の軍事利用の文脈で語られることが多く,日本軍国主義の終焉が野生化をもたらしたとのイメージが一般に広く浸透している.今回,著者らは,故近藤恭司博士の残した資料を出発点に,戦後のヌートリアブームに関する資料を収集し,第二次ヌートリア養殖ブームの再構築を試みたところ,これまでとは全く異なる事実が浮上してきた.当時,食料タンパク増産の国民的な声に押されて策定された畜産振興五ヶ年計画という一大国家プロジェクトが存在し,その一環としてヌートリアの増養殖が計画,推進されていたのである.その始まりは,1945年9月,丘 英通と高島春雄が学術研究会議非常時食糧研究特別委員会において,食糧難対策にヌートリアを用いる事を進言した事に遡る.増養殖の容易さが食用タンパク源の緊急増産に好適であるとして,未曾有の食糧危機を打開する「救荒動物」の筆頭にヌートリアが取り上げられたのである.それが畜産振興五ヶ年計画に取り込まれる過程で,食肉利用だけでなく,アメリカの食糧援助に対する「見返り物資」という目的をも付与され,輸出用毛皮増産の切り札として,1947年9月,畜産振興対策要綱に具体的な増養殖計画が盛り込まれた.つまり,日本におけるヌートリアの野生化の最大原因とされる第二次養殖ブームは,戦後の経済復興計画の一環として行われたものであり,まさに国策増殖といってよい.