著者
塚田 穂高
出版者
「宗教と社会」学会
雑誌
宗教と社会 (ISSN:13424726)
巻号頁・発行日
no.15, pp.67-90, 2009-06-06

近・現代日本の救済宗教において、ナショナリズムとユニヴァーサリズムがどのような形で存在しているのか。本稿では、2つの「新新宗教」-「真光」と「幸福の科学」の世界観ないし教えにおけるナショナリズムの論理を解明するとともに、特に90年代初頭という国際社会・日本社会の転換期・変動期に、同時代の宗教運動がどのような反応を示したかを見ていく。すなわち「新新宗教」が「時代社会論」であるかの検証の意義を持つ。分析の結果、真光は、『竹内文書』と通底する霊的な日本中心主義・人類日本起源説・天皇統治説といった起源神話をそのナショナリズムの中核としており、それが先進国・国際貢献といった時代意識と結合することで「霊的貢献」という宗教ナショナリズムが形成されていた。他方、幸福の科学は、経済的優位性と高級諸霊の存在に裏打ちされた選民・使命意識が、90年代初頭の国際情勢に反応する形で醸成された、独自の宗教ナショナリズムを有していた。
著者
下沢 敦
出版者
共栄学園短期大学
雑誌
共栄学園短期大学研究紀要 (ISSN:1348060X)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.143-161, 2010-03-31

室町時代中期以後の室町幕府奉行人が幕府に訴えを持ち込まれる諸々の不法案件の問題解決を図るべく当該不法案件の根本の原因を成した不法行為の処置方針を示す目的で作成し、発した奉行人奉書を見ると、「向後」発生する懸念のある同様の不法行為の行為者を「罪科」に処する旨を宣言して予告している事例が相当数見受けられる。しかし、中世前期まで主に訴状の上に書き表されていた「向後傍輩」または「傍輩向後」を見懲らす趣旨の見懲らし文言を載せている奉行人奉書の残存例は、一つも見当たらない。室町幕府が常に当該不法案件に関する終局的な判断を公権的に表示していたと考えられる奉行人奉書の上に見懲らし文言が一度も書き表されることがなかったと言う顕著な特徴点を考慮すると、恐らく当該時期の室町幕府は、不法案件の処理を図る上で中世前期的な見懲らし型刑罰観や中世前期的一般予防観念ひいては一般予防思想に立脚して判断を行ったことが一度もなかったのではないかと考えられる。
著者
原田 彰
出版者
日本教育社会学会
雑誌
日本教育社会学会大会発表要旨集録
巻号頁・発行日
no.31, pp.4-5, 1979-09-21

古典的アナキストのひとりであるプルードンへの関心は、最近とくに高まってきているように思われる。いわゆる「マルクス・プルードン問題」や「自主管理」に関連して、常識化しているプルードン像が見直されつつある。多産な思想家であり「逆説の人」(ウッドコック)とも呼ばれるプルードンの複雑きわまりない思想を小ぎれいに整理することは困難である。とりわけ彼の自由論については、それを主題にした論文がないだけに、いろんなテキストに分散している考察をつなぎ合わせていく作業が必要である。ここでは、ギュルヴィッテ、アンサール、バンカール、さらに京大人文研などの研究を手がかりにして、プルードンの自由論の現代的意義を探る試みをしたい。
著者
杉本 厚夫
出版者
関西社会学会
雑誌
フォーラム現代社会学 (ISSN:13474057)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.69-76, 2006

阪神タイガースは兵庫県に本拠地(甲子園球場)を置きながらも、大阪という地域アイデンティティを強く持っている不思議なチームである。また、2004年は4位であったにも拘らず、甲子園球場には延べ350万人もの観客動員数があったという。そこで、本稿は阪神タイガースファンの応援行動から、その背景にある大阪文化を逆照射してみたい。ジェット風船を飛ばしたり、メガホンを打ち鳴らしたり、応援のパフォーマンスを持った観客は、観ることから参加することへと変容した。この「ノリ」のよさは、大阪の「いちびり」文化を基盤としている。タイガースファンにとっては勝ち負けより、興奮できるゲームだったかが大切である。つまり、見る値打ちがあるかどうかで判断し、面白い試合だったら「もと」が取れたと言う。興奮するという「感情」を「勘定」に読み替える大阪商人の文化が息づいている。法被を着ることで、応援グッズを持つことで、仲間であることを表明した途端に一体感が生まれる。相手と一体化する「じぶん」の大阪文化を、甲子園球場という祝祭空間で体感することで、人々は都市の孤立感から救われる。六甲おろし(タイガースの応援歌)やそれぞれの選手の応援歌は、ただ単に観客を煽るだけではなく、同時に観客を鎮める働きを持っている。そこには、「つかみ」と「おち」の上方のお笑い文化が潜んでいる。
著者
坂本 薫 森井 沙衣子 上田 眞理子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.193-199, 2015 (Released:2015-07-06)
参考文献数
34

温水浸漬と低温浸漬が米の吸水率に与える影響について,浸漬水中の固形分を考慮して経時的に検討した。5~50°Cの温度で5~240分間米を浸漬し,米の吸水率を測定したところ,温水浸漬と低温浸漬では,吸水曲線が交差する現象が観察され,平衡状態まで吸水させた場合では,温水浸漬よりも低温浸漬の米の吸水率が高かった。浸漬水中の固形分の量を経時的に測定したところ,40°C,50°Cの温水浸漬では固形分は多く浸漬液中に懸濁していた。そこで固形分を加えた補正吸水率を算出したが,吸水曲線が交差する現象が同様に観察され,平衡状態では温水浸漬よりも低温浸漬の米の吸水率が高かった。
著者
伊藤 毅志 松原 仁 ライエル グリンベルゲン
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.45, no.5, pp.1481-1492, 2004-05-15

人間の問題解決の認知過程については数多くの研究が行われてきた.ゲームやゲーム理論は昔から人間の問題解決行動の研究において重要な役割を果たしてきた.なかでもチェスを題材にした認知科学的研究では,エキスパートのプレーヤは,記憶課題において非常に卓越した認識能力を示した.Simon とChase は,このエキスパートの優れた記憶能力をチャンクという概念を用いて説明した.本論文では,将棋を題材に次の一手問題を様々な棋力の被験者に提示して,指し手を決定するまでの思考過程を発話プロトコルとアイカメラデータとして記録する実験を行った.その結果,将棋の上級者以上のプレーヤでは,単に局面に対する駒の配置に関する知識が形成されるだけでなく,局面をその前後関係からとらえられる知識が獲得されることが分かってきた.また,従来の研究から,チェスの上級者では,必ずしも強くなるにつれて量において多く先読みをしないことが知られていたが,将棋では上級者になるにつれ,深く大量に先読みすることが分かった.これらの結果は,従来のチェスの研究で見られたような「空間的チャンク」だけでなく,時間的な前後関係を含んだ「時間的チャンク」の存在の可能性を示唆している.
著者
徐 興慶
出版者
二松學舎大学
雑誌
日本漢文学研究 (ISSN:18805914)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.356-313, 2008-03

In the course of modern Sino-Japanese cultural exchanges, the historical background for the Japan adventure of Buddhist Master Toukou Shinetu of the Caodong sect (1939-1695) was the same as that of Buddhist Master Ingen Ryouki of the Oubaku sect (1592-1673) and Confucian scholar Zhu Shun-shui (1600-1682). Zhu Shun-sui was appointed as a government advisor to impart practical knowledge and theories, and he had far-reaching influence on the development of Mitogaku (Mito School) in Japan. All three scholars were once involved in the anti-Q'ing activities back home in China. But Master Shinetu was little known in Japanese academic circles and he was barely mentioned in academic papers from Taiwan and Mainland China. Toukoushinetu was invited by Abbot Chou Ichi of Koufukuji to visit Japan in 1677. He traveled to Kyoto in 1680 and was recruited by the second Duke of Mito, Tokugawa Mitsukuni (16281700), following in the footsteps of Zhu Shun-shui. Master Shinetu immersed himself in the study of Buddhism. In arts and crafts, he specialized in seal cutting and mastered in calligraphy and guqin (a seven-stringed plucked instrument). He also liked writing poetry. As the guqin instructor to Hitomi Chikudou (16211688), a shogunate official, he made friends with quite a few Japanese scholars both in academic circles and in government, and he caused significant reverberations in Japan's cultural circles. He was considered another important personage following Zhu Shun-shui engaged by Tokugawa Mitsukuni to make up for the inadequacy of Han teaching in Mito. This paper purports to explore how during the middle stage of Tokugawa shogunate Master Shinetu and Japan's intellectual and cultural communities influenced each other. The study focuses on three issues: 1. What was Shinetu's thinking on national identity before and after he traveled to Japan? 2. Based on the materials obtained from public libraries in Nagasaki, Uji-shi, Mito and other towns, as well as historical materials newly discovered from Buddhist temples associated with Shinetu, what were the subjective and objective evaluations of Shinetu in the eyes of Japanese scholars and political figures who had had contact with him? 3. What doctrines did Master Shinetu impart on Japan's intellectual and cultural communities during his stay in Japan and what was his influence? By answering such questions, this paper will clarify the truth about the intellectual evolvement of Master Shinetu and propose new viewpoints.
著者
原田 弘道
出版者
駒澤大学
雑誌
駒澤大學佛教學部研究紀要 (ISSN:04523628)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.117-150, 1975-03
著者
牟田 和恵
出版者
東京大学
雑誌
社會科學研究 (ISSN:03873307)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.97-116, 2006-03-28

日本における家族の歴史社会学研究の蓄積について,とくに隣接領域である家族社会学との関連においてレビューする.その際,80年代以降に若手フェミニスト研究者たちを中心的担い手として展開した「近代家族」論に注目し,それが,家族をめぐる学問領域においてもっていた意味と意義を確認する.その上で,ポストモダン・フェミニズムを経た新たなジェンダー概念の導入により,「ジェンダー家族」という概念を提起し,日本近代の天皇制と家族に関する分析を行なう.結論として,家族の歴史社会学的研究を現代に生かしていく方途を提言する.
著者
岡本利吉 著
出版者
日本電報通信社
巻号頁・発行日
1941
著者
仲松 宏 大城 一郎 端慶山 良助 小禄 洋子 具志堅 明美 具志 成子 新里 かおり 奥山 美智江 比嘉 京子 島田 篤子 比嘉 譲 真喜志 かおり
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
健康医学 (ISSN:09140328)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.34-38, 1993-05-20 (Released:2012-08-27)
参考文献数
13
被引用文献数
3 2

1991年4月より1992年3月までの1年間に当院人間ドックで腹部超音波検査時に甲状腺超音波スクリーニングを同時に施行し,5,567例中33例(発見率0.59%)の甲状腺癌を発見した。男性15例,女性18例に認めた。平均年令は47.7歳で,超音波検査で指摘できた33例全例が乳頭癌で,術後標本でみつかった潜伏癌の1個が濾胞癌であった。平均最大径は11.4mmで,腫瘍径10mm以下の微小癌が19例(58%)あった。腫瘍径15mm以下の癌の92%(24例/26例中)は触診上,触知不能(JTO)であった。リンパ節転移n1(+)が13例(42%),腺外浸潤 EX(ex)(+)が2例に認められた。超音波検査上,悪性を疑う所見は境界不鮮明(42%),低あるいは不均一な内部エコー(61%),砂状多発の石灰化像(55%)が主であった。超音波による甲状腺スクリーニングは極めて有効で腹部超音波検査時に甲状腺超音波検査を同時に行うことは有用と考えられた。
著者
河島 基弘
出版者
群馬大学社会情報学部
雑誌
群馬大学社会情報学部研究論集 (ISSN:13468812)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.19-35, 2010

This article explores the dynamics of contemporary environmental organizations, especially Greenpeace, focusing on their anti-whaling campaign―how they have capitalized on the whaling issue to their own interests, and what tactics they have employed to attract public attention. My main argument is that the anti-whaling campaign takes on an aspect of protest business, that is, the exploitation of an environmental cause as a means of raising donations. I demonstrate this by using interviews I conducted with those who have been involved in the issue and by analysing the documents of both pro and anti-whaling sides.

13 1 1 1 OA 古事記

著者
佐伯常麿 校註
出版者
国民図書
巻号頁・発行日
1929
著者
Naoyuki Takashima Hisatomi Arima Yoshikuni Kita Takako Fujii Naomi Miyamatsu Masaru Komori Yoshihisa Sugimoto Satoru Nagata Katsuyuki Miura Kazuhiko Nozaki
出版者
The Japanese Circulation Society
雑誌
Circulation Journal (ISSN:13469843)
巻号頁・発行日
vol.81, no.11, pp.1636-1646, 2017-10-25 (Released:2017-10-25)
参考文献数
27
被引用文献数
6 10

Background:This study determined the current status of the incidence, management, and prognosis of stroke in Japan using a population-based stroke registry.Methods and Results:Shiga Stroke Registry is an ongoing population-based registry that covers approximately 1.4 million residents of Shiga Prefecture. Cases of acute stroke were identified using standard definitions through surveillance of both all acute-care hospitals with neurology/neurosurgery facilities and death certificates in 2011. A total of 2,956 stroke cases and 2,176 first-ever stroke cases were identified. The age- and sex-adjusted incidence rate for first-ever stroke using the 2013 European Standard Population as standard was per 100,000 person-years: 91.3 for ischemic stroke, 36.4 for intracerebral hemorrhage, and 13.7 for subarachnoid hemorrhage. It was estimated that approximately 220,000 new strokes occurred in 2011 in Japan. Among the 2,956 cases, most stroke patients underwent neuroimaging, 268 received surgical or endovascular treatment, and 2,158 had rehabilitation therapy; 78 patients received intravenous thrombolysis. A total of 1,846 stroke patients had died or were dependent at hospital discharge, and 390 died within 28 days of onset.Conclusions:Incidence rates of stroke by subtypes were clarified and the total number of new strokes in Japan was estimated. More than half of stroke patients die or become dependent after a stroke. This study re-emphasized the importance of public health measures in reducing the burden of stroke in Japan.