著者
菊地 悟
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.108-122, 2006-04-01

歌人・石川啄木の「ローマ字日記」のローマ字表記自体の研究のため、市立函館図書館・函館市文学館所蔵の複写版を閲覧し、原本により忠実なテキストを作成した。「ローマ字日記」におけるローマ字表記の変遷は大別して4期に分けることができ、日本式からヘボン式に劇的に転換する第2期と第3期の間には「国音羅馬字法略解」というローマ字の表が挿入されている。この表は、ほぼ日本式の表であるが、拗音がアイウエオの5段にわたり、擬音の後の母音には『独立発音符号』として「¨」を付ける旨の注記がある、という二つの特徴がある。後者に関しては、実際の日記の表記でもわずか2例ではあるが、使用が認められた。国立国会図書館所蔵のローマ字関係文献を調査したところ、前者には南部義簿ら、後者には末松謙澄、丸山通一らの例を見出せ、啄木の表記が語学の素養ある碩学に通じる点のあることをうかがわせる成果が得られた。
著者
辛島 恵美子
出版者
公益社団法人 日本金属学会
雑誌
日本金属学会誌 (ISSN:00214876)
巻号頁・発行日
vol.66, no.12, pp.1236-1245, 2002 (Released:2008-04-24)
参考文献数
27

The Shinkansen Line has experienced no serious car-accidents since its operation start in 1964. Why has the Shinkansen Line been able to keep such a good safety performance? This paper intends to clarify the background and the reasons why those miracles became possible—when, what kinds of risks and what kinds of actions the staff of the Japanese National Railways took in, who participated in the development of the Tokaido Shinkansen railway-axles in 1950s∼1960s as a designer, an investigator, a maintenance engineer, an inspector, or a top executive in technology. I discovered all the staff had been dedicated to their duties and their actions were prudent enough in general. As a result their behaviors have reduced the riskiness of their works objectively. But the most of the staff were not so much sensitive to risk itself as a few technical top executives of JNR. For example when the inspectors first found unexpected micro cracks on the 20% running axles in 1965, the top executives adapted a new management system in 1966 based on those inspections, which contained a systematic long-range R&D plan of high-quality railway-axles as well as an effective risk management for micro cracks.
著者
塚田 修一
出版者
三田社会学会
雑誌
三田社会学 (ISSN:13491458)
巻号頁・発行日
no.20, pp.83-96, 2015-07

論文1. 問題の所在と先行研究の検討2. 中野駅北口の戦後史3. 中野北口美観商店街と中野ブロードウェイ4. サブカルチャー化を導いた陳腐化と凋落5. 中野BW内部の社会 : 空間的条件6. 結語
著者
永井 敦 井口 裕樹 津島 知靖 公文 裕巳
出版者
岡山医学会
雑誌
岡山醫學會雜誌 (ISSN:00301558)
巻号頁・発行日
vol.113, no.3, pp.267-271, 2001-12-31
著者
林 明子
出版者
一般社団法人日本教育学会
雑誌
教育學研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.13-24, 2012-03-30

本稿の目的は、経済的に不利な状況におかれている家庭の子どもたちが日常生活と進路選択をどのように経験しているのかを解明し、なぜ彼/彼女らが相対的に低位の進路にたどり着くのかに迫ることにある。ライフストーリーに着目し分析をおこなったところ、子どもたちは家庭の困難により学校では周辺的な位置におかれる一方で、家庭がよりどころとなり「家庭への準拠」を強めていた。その帰結として、子どもたちは低位の進路を選択することになったのである。
著者
太田 博樹
出版者
日本人類学会
雑誌
Anthropological Science (Japanese Series) (ISSN:13443992)
巻号頁・発行日
vol.115, no.2, pp.73-83, 2007 (Released:2007-12-22)
参考文献数
68

現在100種を上回る生物種で全ゲノム塩基配列決定が進行中もしくは完了し,『ゲノム博物学』といった様相を呈している。ヒト近縁種については,ヒト,チンパンジー,マカクの全ゲノム・ドラフト配列が発表され,これらゲノム情報の種間比較により分子レベルから人類進化へアプローチする研究は10年前に比べ格段に容易となった。ゲノムワイドの種内比較研究もヒトで最も進んでおり,国際HapMapプロジェクトが組織され,3大陸(アフリカ,ヨーロッパ,アジア)人類集団から百万個以上のDNA多型マーカーが同定された。各生物種の全ゲノム配列やヒト多型データは,データベースが整備されインターネットを介して容易に入手できる。こうしたゲノム科学の進展は「ヒト」および「人」に関わるあらゆる学問,産業,思想に革命的なインパクトを与えることが予想され,既にそうなりつつある。産業との関連においては,シークエンスやタイピングの効率の向上に重きが置かれがちだが,データ解釈の正確さを忘れない姿勢が科学者のあるべき姿であろう。この点において人類学的視点をゲノム科学へフィードバックする重要性が今後さらに増すに違いない。本稿では,ゲノム科学をめぐる世界的動向を概説し,ゲノム科学と人類学の関わりについて議論する。