著者
北村 匡平
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.230-247, 2017 (Released:2018-09-30)
参考文献数
44

敗戦から1950年代にかけて, 大衆娯楽として最も隆盛していた映画は, 多くの国民的スターを輩出した. この時代のスターダムにおけるスターイメージの変遷とそれを価値づける言説に, 大衆の欲望モードの変化がみられるのが1955年頃である. 本稿は, 原節子と高峰三枝子に代表される占領期的な欲望を体現する‹理想化の時代›から, 1955年以降の若尾文子を代表とする‹日常性の時代›への推移を見取り図として, 映画スターに対する大衆の欲望モードの偏差を浮上させることを目的とする.この転換期, 大衆の集合的欲望を最も引き受けていたのは若尾文子であった. 超俗的な美貌をもった占領期のスター女優とは異なり, 若尾文子を価値づける言説は, 「庶民的」「親近感」「平凡」であり, 大衆の‹日常性›を体現するペルソナを呈示していたからこそ彼女はスターダムの頂点にのぼりつめることができた. 本稿は, 娯楽雑誌におけるスターの語られ方を分析することによって, 経済発展だけでは説明できない言説空間の変容を捉える. そこで見出されるのは, 占領期の‹理想化›された社会を象徴するスターへの反動として, 大衆文化を具現する‹日常›の体現者を称揚する言説構成である. スターを媒介にして自己を見つめ返すようなまなざしの構造が生成する1950年代中頃, 若尾文子は「平均的」であることによって大衆の‹日常性›を演じ, 若者の「リアリティ」を体現したのである.
著者
吉田 文和
出版者
北海道大学大学院経済学研究科地域経済経営ネットワーク研究センター
雑誌
地域経済経営ネットワーク研究センター年報 (ISSN:21869359)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.51-74, 2012-03-30

2011 年3 月11 日に発生した福島第1原子力発電所が引き起こした原発災害を,公害論からみることによって,この問題を原因論と被害論を基礎として責任論,対策論,費用論,救済論,代替政策論から分析し,問題の広がりと解決の方向性と時間軸,課題を整理し,展望を見出すことができることを具体的に示した。
著者
久恒 靖人 松下 恒久 野田 顕義 天神 和美 佐治 攻 榎本 武治 民上 真也 福永 哲 大坪 毅人
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.35, no.7, pp.875-878, 2015-11-30 (Released:2016-03-02)
参考文献数
8

性的嗜好により経肛門的異物挿入で直腸穿孔となった症例を経験した。症例1,64歳男性。以前よりホースを肛門に挿入する自慰行為を行っていた。受傷当日も,ホースを使用した自慰行為を施行していたが,行為後より腹痛を認め,経過観察するも症状悪化したため近医へ救急搬送された。近医で処置困難と診断され当院へ紹介となった。精査にて直腸穿孔を認め,ホースによる直腸穿孔と診断し,緊急開腹術を施行した。症例2,75歳男性。友人に肛門へソーセージを挿入された。その後,ソーセージの排泄は認めず,腹痛増悪したため近医を受診された。イレウスと診断され,当院紹介受診。精査にてソーセージによる直腸穿孔と診断し,緊急開腹術を施行した。性的行為による経肛門的直腸異物挿入での直腸穿孔はまれであるため若干の文献的考察を加え報告する。
著者
脇水 健次 西山 浩司 遠峰 菊郎 真木 太一 鈴木 義則 福田 矩彦
出版者
水文・水資源学会
巻号頁・発行日
pp.9, 2008 (Released:2008-11-28)

地球温暖化の影響下では,極端な多雨か極端な少雨の発生頻度が増加すると言われている. 従来,わが国では,干ばつ(渇水)防止のために,度々,ヨウ化銀(AgI)やドライアイスを用いた人工降雨法が,実施されてきた.しかし,これらの方法では問題点が多く,雲内の多量の過冷却液体雲水を効率良く降水に変換できなかった.そこで,この問題を解決するために,1999年2月2日から「液体炭酸を用いた新人工降雨実験」を実施し,良い結果を得ている.しかし,これらの実験やシミュレーション結果から,どうしても「雲の厚さが2000m以上」必要であった.しかし,2007年と2008年の実験から,雲の厚さが,1000m程度の「非常に薄い冬季過冷却積雲」からも地上に降水をもたらすことにも成功したので,本稿では,最近の2例{実験A(2007年2月4日)と実験B(2008年1月17日)}の実験結果を報告する.
著者
鹿児島 崇 山﨑 善隆 坂口 幸治 久保 惠嗣 杉山 広 齊藤 博
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.103, no.4, pp.975-977, 2014-04-10 (Released:2015-04-10)
参考文献数
6

ウェステルマン肺吸虫はモクズガニやサワガニを生食することでヒトに感染する.今回,姉妹の感染例を経験した.両名ともプラジカンテルの投与で軽快した.国内で販売されている淡水産のカニの肺吸虫感染率は決して低くなく,加熱なしで淡水産カニを喫食する際には十分な注意が必要と考えられる.また本例はいずれも外国人であり外国人診療においては食習慣の違いによる感染症にも留意する必要があると考えられた.
著者
伊崎 聡志 葉山 惟大 照井 正
出版者
日本大学医学会
雑誌
日大医学雑誌 (ISSN:00290424)
巻号頁・発行日
vol.75, no.4, pp.156-160, 2016-08-01 (Released:2016-09-16)
参考文献数
18

Malignant melanomas easily metastasize and are often resistant to conventional classical therapies, i.e., surgery, chemotherapy and radiotherapy, in patients with advanced/metastatic malignant melanoma. In recent years, rapid advances have been made in the immunotherapy of malignant melanoma. New medicines, which have been approved by Federal Drug Administration (FDA), have dramatically improved the clinical outcomes for patients with advanced/metastatic melanoma. Nivolumab is an immune checkpoint inhibitor that targets programmed cell death-1 (PD-1) receptors. PD-1 is expressed on many immune cells, including T cells, B cells and natural killer cells. Engagement of PD-1 with its ligands (PD-L1 and PD-L2) induces functional exhaustion of the cytotoxic immune response. Nivolumab inhibits the PD-1 pathway, and thus activates the cytotoxic immune response. Although the immune checkpoint inhibitor tends to take a few months until it exhibits efficacy, once established, the efficacy often lasts for a long time. However, immune checkpoint inhibitors can have many adverse effects, including autoimmune-related inflammation. In particular, relevant severe adverse effects include interstitial pneumonia, colitis, liver dysfunction, thyroid disorders, and infusion reaction. Other affected organs include the skin, eyes, kidneys and nerves. Furthermore, several cases of fulminant type 1 diabetes mellitus have been reported in 2015 and 2016. Because we cannot predict what kinds of adverse effects will occur or when they will occur, we must observe patients carefully in order to detect any adverse events early on, and initiate appropriate treatments. The development of a number of new therapies will provide benefits for patients with malignant melanoma. Dermatologists must use these new drugs appropriately after determining the correct diagnostic information and providing supporting evidence.
著者
今西 孝至 岡村 美代子 川端 崇義 髙山 明 楠本 正明
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.92-99, 2018-09-20 (Released:2018-09-26)
参考文献数
9

目的:在宅医療における薬剤師の役割について全国のケアマネジャー(CM)にアンケート調査を行った.方法:日本介護支援専門員協会47都道府県支部に依頼状を郵送し,本調査に同意が得られた会員のみを対象とした.解析はテキストマイニングを用いた.結果:回答が得られたCMは206人で,医療職出身者が25%,介護福祉職出身者が75%であった.「薬剤師は在宅医療に必要か」の質問に90%のCMが「必要」と回答した.また,「必要」と回答した理由についてテキストマイニングによる解析の結果,医療職出身CMでは“指導”や“内服”,介護福祉職出身CMでは“相談”というキーワードが有意に出現した.結論:在宅医療における薬剤師の役割として,医療職出身CMは「患者・家族や他職種への指導について専門性を発揮すること」,介護福祉職出身CMは「服用薬や副作用に関する情報について相談に乗ること」に期待していることが明らかになった.
著者
櫛引 美代子 工藤 優子
出版者
弘前学院大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01 (Released:2013-05-31)

乳房緊満に対するキャベツ葉湿布の冷却効果について検証することを目的に、キャベツ葉を用いて、同意を得られた20歳代非妊娠成人女性34名、褥婦3名を対象にキャベツ葉冷湿布実験を行い、湿布剤貼付部位の温度、血流測定を行った。非妊娠女性のキャベツ葉冷湿布では皮膚表面平均温度は5分後に1.3℃下降し、15分後まで有意に下降した。30分後から皮膚表面平均温度は上昇傾向が認められた。褥婦の場合、キャベツ葉冷湿布5分後にいずれも急速に皮膚表面温度が下降し、10~25分後より徐々に上昇した。乳房例では冷湿布開始時に血流が低値であったが、徐々に血流の増加が認められた。キャベツ葉冷湿布は緩徐な冷却効果が示唆された。

19 19 19 0 OA 洋式適用規矩術

著者
中谷 礼仁
出版者
建築史学会
雑誌
建築史学 (ISSN:02892839)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.38-82, 1998 (Released:2018-10-09)
著者
有薗 真代
出版者
社会学研究会
雑誌
ソシオロジ (ISSN:05841380)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.55-71,187, 2004

This paper reconsiders gender/sexuality theory by focusing on a transgendered individuals way of life. It is also an attempt to extend the sociology of life history by focusing on changes in her narrative. My task in this dissertation is to externalize their straggles with their own issues. For the purpose of analyzing changes in narrative, I introduced the approach of Narrative therapy. Narrative therapy assumes that when people tell their own stories certain events are untold and recognized, or intentionally left out. A persons subjective narrative is told as if it were the definitive story of what has happened. This is the method of Narrative therapy. Subverting the dominant narrative of personal experience will create alternative stories that have been left out in repeated retellings, locate the multi-dimentional nature of the individuals own stories, and respond to their complexity. Furthermore, attention to power in narrative therapy will show what kind of power is at work when such stories are formed. By analyzing the individuals narrative in this fashion, I describe the creative process of techniques for overcoming the difficulty and pain that exist in a minoritys everyday life.
著者
大谷 尚
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
薬学雑誌 (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.137, no.6, pp.653-658, 2017

&emsp;The article is an in-depth explanation of qualitative research, an approach increasingly prevalent among today's research communities. After discussing its present spread within the health sciences, the author addresses: 1. Its definition. 2. Its characteristics, as well as its theoretical and procedural background. 3. Its procedures. 4. Differences between qualitative and quantitative approaches. 5. Mixed methods incorporating quantitative research. And in conclusion: 6. The importance of establishing an epistemological perspective in qualitative research.<br>