著者
趙 慶喜
出版者
一般社団法人 社会情報学会
雑誌
社会情報学 (ISSN:21872775)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.35-47, 2018

<p>本稿はここ数年韓国で熾烈な論争を引き起こしている女性嫌悪言説を追跡したものである。「嫌悪(혐오)」という語には,憎悪(hate)と嫌悪(disgust),そして恐怖(phobia)が混在している。嫌悪は新自由主義時代のグローバルな現象であると同時に,韓国社会を強力に規定してきた分断イデオロギーや敵対性の記憶によって増幅される情動である。本稿では,2015年以後に起きたいくつかの出来事を通して,「女嫌」という情動の増幅と転換の過程を考察した。</p><p>江南駅女性殺害事件とともに触発された韓国の「女嫌」論争は,メガリアンという新たなフェミニスト集団を誕生させた。メガリアンは女性嫌悪に反対するという消極的な立場にとどまらず,「女嫌嫌」を目指すミラーリング戦略をとった。ミラーリングは単に原本のコピーに止まらず,原本がいかに差別と嫌悪にまみれたものであるのかを反射を通して知らしめる戦略であった。彼女たちは,男性たちの女性への快楽的な嫌悪表現や日常的なポルノグラフィをそっくりそのまま転覆することで男女の規範を撹乱した。メガリアが爆発的な波及力を持ちえたのは,女性たちの共感と解放感という同時代的な情動が共振した結果であった。</p><p>しかし,女嫌をめぐる葛藤は単なる男女の利害関係をこえたより複雑な分断にさらされた。とりわけLGBTへの反応は,右派/左派あるいは世代や宗教のあいだの様々な対立構図を生み出した。たとえばキリスト教保守陣営による「従北ゲイ」という言葉は,反共と反同性愛を結合させることで韓国社会の内なる敵への憎悪と嫌悪を凝縮させ,フェミニストやLGBTなど既存の境界を撹乱する存在に対する過剰な情動の政治を作動させた。本稿は「女嫌」言説の増幅過程を通して,それが韓国社会に蓄積された様々なイデオロギー的葛藤のひとつの兆候であることを明らかにした。</p>
著者
佐々木 敏
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.231-233, 2018 (Released:2018-04-28)
参考文献数
10

Measurement is a base of science. No progress exists in science, without measurement. However, measurement methods on diets, i.e., dietary assessment methods, have not been fully studied in Japan. Dietary assessment methods are science much more complicated and difficult ones than we have long believed and expected. In dietary assessments, there are many factors which induce measurement errors, both randomly and systematically. Two of most important factors are day-to-day variation of diets and underreporting of diets. "Validity" of a dietary assessment method is one of the important information which shows us how we use it and how much we can believe the data obtained from it. We, all researchers who are interested in diets, should be very careful for the validity of dietary assessment methods and the high-quality validation studies should be more encouraged.
著者
平城 達哉 木元 侑菜 岩本 千鶴
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.249-255, 2017

<p>鹿児島県奄美大島に分布するアマミノクロウサギ<i>Pentalagus furnessi</i>を対象として,2007年度~2016年度の10年間に環境省奄美野生生物保護センターにおいて把握できている本種の死亡個体と鹿児島県教育委員会大島教育事務所に集約された天然記念物滅失届の情報(<i>n</i>=499)を用いて,ロードキルの発生場所と発生時期を検討した.ロードキル(113件,交通事故で緊急保護された直後に死亡した3個体を含む)は全体の滅失数の22.6%を占めた.このうち,93件(82.3%)は島の中南部(奄美市住用町,大和村,宇検村,瀬戸内町)で発見されたもので,特に瀬戸内町網野子峠,奄美市住用町三太郎峠,県道612号線,県道85号線がロードキル多発区間であった.アマミノクロウサギのロードキル発生時期には季節性がみられ,発生件数は夏に少なく,秋から冬に多い傾向が示された.</p>
著者
金 文柱 キム ムンジュ
出版者
大阪大学大学院文学研究科 グローバル日本研究クラスター
雑誌
グローバル日本研究クラスター報告書
巻号頁・発行日
vol.1, pp.31-38, 2018-03-31

報告3セッション2 韓国の原爆文学をどう読むか特集1 : 国際ワークショップ「東アジアから原爆文学を読みなおす」
著者
有賀 美和子
出版者
東京女子大学
雑誌
東京女子大学紀要論集 (ISSN:04934350)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.185-203, 1995-09-20

15 15 0 0 Music perception

出版者
University of California Press
巻号頁・発行日
1983
著者
園田 翔
出版者
早稲田大学
巻号頁・発行日
pp.11-214, 2016

早大学位記番号:新7508
著者
佐藤 正志 張 志祥
出版者
摂南大学
雑誌
経営情報研究 : 摂南大学経営情報学部論集 (ISSN:13402617)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.89-102, 2009-10

「満洲国」において、「満洲産業開発五カ年計画」が動き始めた1937年前後から、星野直樹、東條英機、鮎川義介、松岡洋右および岸信介の「二キ三スケ」と呼ばれた5人の実力者の存在が注目されはじめた。そのなかで、経済産業政策を中心的に担ったのが岸信介である。植民地研究の第一人者である小林英夫は、岸が革新官僚として「満洲国」に渡り、そこでさまざまな統制経済の「実験」を実施し、この「満洲経営」が、戦時統制経済をはじめ、第2次世界大戦後に世界に類例をみない日本の高度経済成長や戦後日本経済のグランドデザインをつくったと指摘しており、戦前と戦後の連続性を主張する最近の論調を代表する。本稿では、岸が「満洲経営」で果たした役割とそれの戦後経済成長との関連性をめぐり、どのような言説が流布され、いかなる主張がなされているのか。また、それをいかに論証しているのか、最近の岸に関する研究動向のみならず一般書や雑誌記事などにおける代表的な言説をレビューし、革新官僚・岸信介による「満洲経営」の経済史的意義を解明する際の課題について考察する。
著者
川添 歩 篠原 稔和
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.11, pp.548-554, 2018-11-01 (Released:2018-11-01)

情報探索におけるユーザビリティという観点から,主にウェブにおけるユーザーインターフェース(UI)について,情報探索のしやすいデザインがどのようなものかについて論じる。ユーザーが情報探索をする際のタスクを示した上で,それらのタスクごとに検討すべき内容と,それに対応した「あるべきUI」のデザインパターンについて,「国立国会図書館サーチ」等の例を挙げながら説明する。
著者
Seiki TAKATSUKI Shingo MIURA Kazuo SUZUKI Kaori ITO-SAKAMOTO
出版者
The Mammal Society of Japan
雑誌
Journal of the Mammalogical Society of Japan (ISSN:09141855)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.91-98, 1991 (Released:2010-08-25)
参考文献数
21
被引用文献数
1

A mass mortality of sika deer (Cervus nippon) population occurred on Kinkazan Island in northern Japan in the spring of 1984, which followed an unusual cold winter. We collected a sample of 240 deer skulls. All deer were aged and sexed except some fawns. The sex ratio of >1 year old deer was 50: 50, but was skewed toward males compared with the sex ratio obtained in the population census in 1983. The oldest age at death was 12.5 years for males and 15.5 years for females. The frequency was low for young age classes. A relative cumulative frequency curve was constructed to examine the age-specific mortality pattern. The curves of both sexes suggested that mortality was relatively high for fawns and low for adult and prime-aged animals, and that mortality was higher and life span was shorter for males than for females.
出版者
国立国会図書館
巻号頁・発行日
vol.2018年, no.(691), 2018-11-01
著者
渡辺 真由子
出版者
公益財団法人 情報通信学会
雑誌
情報通信学会誌 (ISSN:02894513)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.2_81-2_88, 2012 (Released:2012-12-25)
参考文献数
39

青少年による性的有害情報への接触は、インターネットの普及で容易になった。フィルタリングが必ずしも有効でないスマートフォンの登場がその傾向を後押ししており、新たな対策は急務といえる。本稿は、マス・コミュニケーションの効果研究において、性的有害情報に関する従来メディアの研究を概観した上で、ネット上の性的有害情報をめぐり海外で行なわれている研究の最新動向を伝え、ネットならではの影響特性や影響研究の限界についても分析した。性に関する情報が全て有害なのではなく、問題は、その描写内容に「性暴力」が登場するかどうか、さらには被害女性の反応をどう描くかにあることが示唆される。CGの発達やコミュニティサイトの相互作用性など、ネットの特性が生み出す実態にも目を向けねばならない。ネット上の性的有害情報への対策を技術的な規制のみに頼るのは限界がある。新たな自主規制・法規制の検討や、性情報の歪みやネットならではの特性を批判的に読み解くリテラシー教育が、家庭や学校において今後より求められよう。

15 13 0 0 外務省発表集

出版者
外務省情報文化局
巻号頁・発行日
vol.昭和35年2月第10号および公表資料集第8号,
著者
鶴池 政明 上 勝也
出版者
大阪体育大学
雑誌
大阪体育大学紀要 (ISSN:02891190)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.149-157, 2001-07-01

The structure of the human tendon and ligament is dense organized connective tissue, which includes two basic elements: fibroblast, a fixed cell of connective tissue, and extracellular matrices. The tendon, for instance, has been suggested to consist of 20% collagen, 78% water, and 2% glycosaminoglycans. The fibroblast synthesizes three polypeptide chains, which develop into a triple helix, called a procollagen molecule inside the cell. The procollagen molecules enzymatically secreted from intracellular to extracellular form a tropocollagen. The tropocollagen molecule consists of two amino acids: hydroxyproline and hydroxylysin. The hydroxylysin is the essential component of crosslinks. The cross-links form intra- and intermolecule bounding from one collagen filament to another in order to organize the tropocollogen molecules. They also play a critical role in the mechanical tensile strength within collagenous tissue and function as energy absorber. Therefore, whether the cross-links in collagen fibers are reorganized is an important factor to understand the healing process in the tendon or ligament damaged. The healing process first shows vascular, chemical and cellular reaction to injury. This reaction facilitates the fibroblast to synthesize fibrous protein and collagen. Developing the extracellular matrix, tissue regeneration or scar formation takes place in time. Since the tendon and ligament have relatively poor blood supply, their healing process is slow. Nevertheless, it can be the same as general tissue trauma, which is divided into three phases: 1) inflammatory, 2) proliferative, and 3) remodeling. The purpose of this paper is to review each phase of the healing process.
著者
稲葉 慎 高槻 成紀 上田 恵介 伊澤 雅子 鈴木 創 堀越 和夫
出版者
日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 = Japanese journal of conservation ecology (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.51-61, 2002-09-30
参考文献数
26
被引用文献数
2

小笠原諸島に生息するオガサワラオオコウモリのうち,父島個体群の生息数は近年150頭前後でほぼ安定していたが,2001年頃から急速に減少しており,保全対策を緊急に実施する必要がある.オガサワラオオコウモリは果実食で現在では栽培植物に大きく依存し,またエコツーリズムの対象となりつつあるなど,本種をめぐる自然環境・社会環境は複雑であるため,問題点を整理し,保全策の提言をおこなった.