- 著者
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章 開訓
大野 勝利
葛野 浩
- 出版者
- 岐阜大学
- 雑誌
- 岐阜大学農学部研究報告 (ISSN:00724513)
- 巻号頁・発行日
- vol.52, pp.191-198, 1987-12-25
本研究は亀の胸部甲殻に設けた穿孔穴を通して体表からの導出に準ずる心電図を誘導記録した。本研究に用いた誘導法は操作が比較的簡便で,かつ記録した心電図の各波形は明晰であった。そこで得られた資料をもとに心電図学的に各種の分析を試みた結果,爬虫類亀科の心臓の系統発生学的な研究および生理学的な検討に有意義な方法であると結論した。1.調律:正常な亀は洞性調律である。洞性P波はI,IIおよびaVFは陽性を示し,aVRおよびaVLは陰性を示した。また調律の不整も認められた。2.心拍数:安静状態下の心拍数は30回/分以下で平均値は26.6±2.7回/分である。3.電気軸:P波の平均電気軸は70°〜90°にあって,その平均値は76.87°±7.9°である。QRS波の平均電気軸は72°〜144°にあって,その平均値は93.87°±24.1°である。したがって両者の電気軸の方向は概ね同一で,すべて左下方を指向している。4.P波の持続時間と振幅:持続時間の平均値は102±6.8 msecである。振幅はII,III,aVFおよびaVRが大であった。5.P-R間隔:その平均値は649±6.7msecである。6. QRS波の形態:IはRを主とし,II,IIIおよびaVFはRSを主とし,aVRおよびaVLはQRを主とする。QRS波の持続時間の平均値は203±48.2msecである。振幅は陽性がII,IIIおよびaVFが大であり,陰性はaVRおよびaVLが大であった。7.S-T間隔:その平均値は810±36.6msecである。8.T波の持続時間と振幅:持続時間の平均値は218±20.4msecである。形態は大部分が二相性を示し,振幅はII,III,aVFおよびaVRが大であった。9.Q-T間隔:その平均値は1226±10.6msecである。