著者
川島 眞 沼野 香世子 石崎 千明
出版者
Japanese Dermatological Association
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.117, no.6, pp.969-977, 2007

アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis:AD)患者の乾燥皮膚における医療用保湿剤(ヘパリン類似物質含有製剤,尿素製剤及びワセリン)の有用性を評価するために,角層水分量,経表皮水分喪失量(TEWL),皮膚所見及び痒みの程度を指標として,ランダム化比較試験を実施した.ADの炎症が鎮静化した乾燥症状を主体とする左右前腕屈側部を対象とし,試験薬を1日2回3週間塗布し,その後1週間は観察期間とし,対象部位にはいかなる処置も行わなかった.その結果,全ての保湿剤において外用期間中は角層水分量の有意な増加が認められた.なかでもヘパリン類似物質含有製剤群は,尿素製剤及びワセリン群に比べ,より高い角層水分量を示し,観察期間においてもその効果は持続した.皮膚所見及び痒みも,全ての保湿剤で有意な改善が見られたが,TEWLは改善しなかった.以上より,今回試験した保湿剤は,いずれもAD患者の皮膚生理学的機能異常を改善することが確認され,さらに,ヘパリン類似物質含有製剤は尿素製剤及びワセリンよりも優れた保湿効果を有することが示された.

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出版者
日本赤十字社香川支部病院
巻号頁・発行日
1918
著者
三宅 一徳
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.94, no.12, pp.2467-2472, 2005-12-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
6
被引用文献数
1 1

臨床検査値の判別指標としては,基準値(基準範囲)とカットオフ値(病態識別値)という2種の数値が提供されている.基準値は健康な集団における検査値変動(生理的変動)に設定根拠を置く.近年,生理的変動を解析する手法の理論的整備が進み,各検査項目の基準範囲が病態判定上どのような意義を有するかを明確化できるようになった.また,近年では診療ガイドラインなどで基準値とは別に病態識別値が設定される項目も多くなってきている.
著者
中野 重行
出版者
一般社団法人 日本臨床薬理学会
雑誌
臨床薬理 (ISSN:03881601)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.63-66, 2003-03-31 (Released:2010-06-28)
参考文献数
3
著者
佐久間 路子 無藤 隆
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.33-42, 2003-03-30
被引用文献数
1

本研究の目的は,人間関係に応じて自己が変化する動機,変化に対する意識を測定する尺度の作成および自尊感情との関連における性差を検討することである。大学生男女742名を対象に,変化程度質問,変化動機尺度,変化意識尺度,セルフ・モニタリング尺度,相互独立的-相互協調的自己観尺度,自尊感情尺度などからなる質問紙を実施した。主な結果は以下の通りである。1)変化動機尺度は関係維持,自然・無意識,演技隠蔽,関係の質の4因子,変化意識尺度は否定的意識,肯定的意識の2因子が見いだされ,信頼性と妥当性が確認された。2)変化動機の関係維持,自然・無意識,関係の質は,男性よりも女性の方が得点が高かった。3)男女ともに,変化程度は自尊感情との関連が見られなかったが,女性においてのみ否定的意識と演技隠蔽の自尊感情への負の影響が認められ,変化動機および変化意識と自尊感情との関連には,性別による違いがあることが示された。
著者
塚本哲三 校
出版者
有朋堂書店
巻号頁・発行日
1927
著者
篠原 陽子 藤原 康晴 山下 伸典
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.161-166, 2001-02-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
6
被引用文献数
1

NaClOと過酸化水素水との反応で発生する酸素量を自作のガスビュレットで測定し, 簡単に塩素系漂白剤の濃度決定を行う方法を開発した.得られた結果は次のように要約される.(1) ガスビュレットで求めた発生酸素量V∞ (mmol) と, 常法の酸化還元滴定で求めた有効塩素濃度H (%) との間によい相関が認められ, 本方法が有効塩素濃度の決定に用い得ることがわかった.(2) 本法は, 漂白に関係する酸素を測定するので, 原理がわかりやすい.経時的な測定では, 反応速度定数が求められ, 基礎から応用まで幅広く活用可能である.過酸化水素水を用いる本法は, 安全で廃液の処理も簡単であり, 学生実験にも適用できる.(3) みかけの反応速度は10~40℃の範囲では, 温度に比例して大きくなることが認められた.(4) 開封して長期間使用している市販塩素系漂白剤の発生酸素量を測定した結果, 開封後1年で当初の約70%, 2年後で約50%の濃度に低下していることが示された.(5) 保管条件による濃度低下を検討した結果, 温度, 光の影響を強く受けることがわかった.なお, 本研究の概要は, 日本家政学会第49回大会 (1997) において発表した.
出版者
内務省戸籍局
巻号頁・発行日
1880
著者
中村 恵美子
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2004

本年度は、Fr.シュレーゲルのイロニーおよびアラベスク概念に関する論考を二本提出している。第一のものはティークの『長靴を履いた牡猫』をロマン的イロニーとの連関のうちに分析した「エルゴンなきパレルゴン-ティークの『牡猫』における"イロニー"」(『シェリング論集第5集』)である。ドイツ文学批評史がこれまで、『牡猫』をロマン的イロニーが駆使された典型的作品とみなし、それをいわば定式のように語ってきた一方で、当のシュレーゲルが一言足りともそのような言説を残していない-この事実は従来見逃されてきたか、あるいは意図的に等閑に付されてきた-この矛盾を論述の起点とし、原因を解明しようと試みたものである。「自己創造と自己破壊の絶え間ない交代」というシュレーゲル自身のイロニー定義に鑑みるとき、このディアレクティークの成立に不可欠である自己創造のモメントが『牡猫』に欠けているという仮説を提起し、作品分析を通じてこれを証明している。ロマン的イロニー理解における一つの歴史的な誤解を指摘したものである。第二の論考は「Fr.シュレーゲルのアラベスク概念解明のために-セルバンテスとスターンを中心として」(『詩・言語』第64号)である。批評を内在させる芸術作品において、イロニーは自己批判的、自己破壊的な契機を、アラベスクは種々の諸要素をつなぎとめる構築的契機を担い、両者は一対のものとして、いわば理論を内包する混沌たるロマン主義芸術作品を成立させる不可欠の要素となっているにもかかわらず、その一翼を担うアラベスクの究明は、従来の研究においてなおざりにされてきた。本論考はあえてドイツ文学の域を超え、シュレーゲルがアラベスク的と批評したセルバンテスとスターンの作品の中から、『ドン・キホーテ』『トリストラム・シャンディ』を分析対象として取り上げ、両作品に通底する作品構成に着目しつつ、アラベスク概念の解明を試みたものである。
著者
金城 達人 千住 智信 上里 勝実 藤田 秀紀
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌B(電力・エネルギー部門誌) (ISSN:03854213)
巻号頁・発行日
vol.124, no.8, pp.1059-1066, 2004 (Released:2004-11-01)
参考文献数
18
被引用文献数
5 8

The increased renewable energy utilization, especially photovoltaic panels using solar energy or wind turbine generators (WTGs) using wind energy, has been expected in recent years from view point of CO2 gas emission reduction and environmental conservation. However, the generated power is always fluctuating because the WTGs are driven by fluctuating wind. Therefore, an energy storage system should be installed to compensate these fluctuating elements. The energy capacitor system (ECS) which combined the electric double-layer capacitor (EDLC) and the electronic circuits are now under development. In this paper, control system configuration for active and reactive output power simultaneous control and the bi-directional inverter using current source EDLC are proposed. Moreover, we discusse control methods required in generating-power leveling for WTGs, and show the effectiveness of the proposed system through simulations.