著者
繁田 信一
出版者
「宗教と社会」学会
雑誌
宗教と社会 (ISSN:13424726)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.77-98, 1995-06-10 (Released:2017-07-18)

本稿の目的は、医療および呪術の平安貴族社会における治療手段としてのあり方、および、平安貴族の治療の場面における医療と呪術との関係を把握することにある。この目的のため、平安貴族の漢文日記(古記録)を主要史料として用いるが、考察にあたっては近年の医療人類学的研究の成果をも利用し、次に示す諸点について明らかにする。(1)平安貴族社会において、医療および呪術は一定の専門知識にもとづく技術として認識されていたのであり、また、(2)平安貴族は医療と呪術とをそれぞれ別個の技術体系に属するものとして認識していた。したがって、(3)平安貴族社会における治療手段は、医療と呪術とによる二元的なものだったのであるが、(4)医療と呪術とは相互に排除し合う関係にあったわけではなく、そのいずれもが各々の資格において有効な治療手段として認識されていた。また、(5)呪術は医療の有効性および安全性を保障・保証するものと見做されてもいたのであり(6)総合的に見るならば、平安貴族社会における医療と呪術との関係は相互補完的なものであった。
著者
坪村 宏
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.46, no.10, pp.632-635, 1998-10-20 (Released:2017-07-11)
参考文献数
3
被引用文献数
6

従来の高校教科書では電池の項の説明をボルタ電池から始めるものが多い。しかしボルタ電池は, 歴史的な立場はともあれ, 実際は非常に複雑な現象を含むものであり, また安定した起電力を保つことも難しいものであって, これを電池の話の導入に用いることは無理がある。またそのためか, 従来の教科書のボルタ電池の説明には誤りが多く, 化学教育上必要のない, 複雑で末梢的な記述が多い。電池の仕組み, 特長を教えるには, ボルタ電池はやめにして, ダニエル電池などを導入に用いることを勧めたい。
著者
西野 浩史
出版者
日本比較生理生化学会
雑誌
比較生理生化学 (ISSN:09163786)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.26-37, 2006-04-20 (Released:2007-10-05)
参考文献数
62
被引用文献数
1

広い動物界にあって聴覚を有し, これを同種間コミュニケーションに役立てている動物は前口動物の頂点に位置づけられる昆虫と, 後口動物の頂点に位置づけられる脊椎動物に限定される。系統的に大きく隔てられたこれらの動物が聴覚を発達させていることは, 収斂進化の典型例とみなされてきた。しかし近年の研究からは, 音を処理する感覚細胞は動物間共通の分子機構を持つことが明らかとなってきている。むしろ収斂進化のもっとも顕著な部分は音エネルギーを効率良く感覚ニューロンに伝えるための体構造の修飾にある。鼓膜がその良い例である。本稿では最近10年の聴覚研究の新発見を広くとりあげ, 昆虫の聴覚器官の進化について論じてみたい。

23 0 0 0 OA 群書類従

著者
塙保己一 編
出版者
経済雑誌社
巻号頁・発行日
vol.第十六輯, 1902
著者
下井 守
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.282-285, 2006-05-20 (Released:2017-06-30)
参考文献数
8

酸素は無色透明の分子であるが,液体状態では薄い青い色を示す。また酸素は偶数の電子を持っているにもかかわらず磁石に引き寄せられる常磁性という性質をもつ。この酸素の特異的な性質は,ルイスの電子対や原子価結合法では説明ができないが,分子軌道法と分子間の相互作用により説明される。

21 0 0 0 OA 国史大系

著者
経済雑誌社 編
出版者
経済雑誌社
巻号頁・発行日
vol.第1巻 日本書紀, 1901