著者
縄田 健悟
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.85.13016, (Released:2014-06-01)
参考文献数
24
被引用文献数
9 10

Despite the widespread popular belief in Japan about a relationship between personality and ABO blood type, this association has not been empirically substantiated. This study provides more robust evidence that there is no relationship between blood type and personality, through a secondary analysis of large-scale survey data. Recent data (after 2000) were collected using large-scale random sampling from over 10,000 people in total from both Japan and the US. Effect sizes were calculated. Japanese datasets from 2004 (N = 2,878–2,938), and 2,005 (N = 3,618–3,692) as well as one dataset from the US in 2004 (N = 3,037–3,092) were used. In all the datasets, 65 of 68 items yielded non-significant differences between blood groups. Effect sizes (η2) were less than .003. This means that blood type explained less than 0.3% of the total variance in personality. These results show the non-relevance of blood type for personality.
著者
中村 聡
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.103-107, 2006
参考文献数
5
被引用文献数
1

電子レンジの加執原理を説明する際に,振動する水の分子同士の摩擦熱を考える場合があるが,真実に反している上,熱の分子運動論や摩擦現象のミクロなイメージの涵養を妨げる。いくらかの調査の結果,摩擦熱の説明はかなり流布していて,生徒もテレビなどを通じて聞き,更に学校教育までも荷担していることが判明した。摩擦熱を考える代わりに,「分子が振動していれば,そのエネルギー自体が熱である」と述べた方か良い。もし分子運動論を避けるのであれば,逆に電子レンシの加熱原理についても触れない方が良いと思われる。
著者
加藤 敏
出版者
日本生物学的精神医学会
雑誌
日本生物学的精神医学会誌 (ISSN:21866619)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.53-59, 2012 (Released:2017-02-16)
参考文献数
23

1964年進化生物学者のHuxleyらが初めて,統合失調症発症にかかわる遺伝子には「遺伝的モルフィスム」(genetic morphism)が含まれ,統合失調症は進化異常(evolutionary anomaly)であるという見解を出した。この考え方を発展する形で,Crowは,ヒトの種に成功をもたらした言語ゆえに,ヒトは統合失調症発症という代償を強いられたと考える。Crespiらは,統合失調症の重要な感受性遺伝子がヒトの進化に関わる遺伝子であることを明らかにした。この種の研究は,人間の進化に関する遺伝子解析を考慮のうちに入れる形で,統合失調症の生物学的解明を行うことを試みるもので,生物学的精神医学における今後の統合失調症の病態解明に重要な展望を拓くといえる。統合失調症の有病率が地域,民族で必ずしも均一ではないという最近の疫学知見は,遺伝子レベルでは統合失調症感受性遺伝子の集積性に種々の変異があることを示唆する一方,統合失調症の顕在発症を考える上では,社会・文化環境の要因も重要であることの傍証となる。
著者
今村 成和
出版者
北海道大学法学部
雑誌
北大法学論集 (ISSN:03855953)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2-3, pp.3-22, 1965-12
著者
馬場 宏二
出版者
大東文化大学
雑誌
Research papers
巻号頁・発行日
vol.31, pp.1-32, 1999-12

事態を発見しながら叙述を進めて来たので、文脈が多少混雑していると思う。繰り返しになるが、大筋を箇条書きにまとめておく。1. 漢籍古典に「社会」という文字は古くからあるが、「会社」という文字はなかった。「会社」は江戸時代の日本で創案された新語であった。2. 19世紀に入って、鎖国日本が世界情勢を知る必要が生じた時、蘭学者が地理書を翻訳し、その中で、西欧の社会制度の訳語の一つとして「会社」が創案された。最初の創案者を特定することは出来ないが、杉田玄瑞『地学正宋』がおそらく最初の使用例である。19世紀後半の蘭学者たちは、この語を共有していたものと思われる。3. 「会社」はもともと学界、学芸集団の意味であり、やや拡げて特定階層の自発的集団の意味、あるいは今日の「社会」に重なる意味で使われた場合もあるが、営利企業の意味に使われたことは原則としてなかった。その例外は、オランダ東インド会社の類の特権会社を「会社」と呼んだ場合である。4. これは「会社」の原語がオランダ語の Genootschap (団体、協会) か Maatschapppij (社会、協会・学会・団体、会社) だったことに由来する。江戸時代の辞書では、前者を学会、後者を組合と訳している。オランダ語の Compagnie には、「中隊」と東インド会社を指す「会社」の意味しかなく、これは江戸時代の辞書でも同様だったから、訳書の中ではこれが例外的「会社」になった。中隊に相当する訳語はなかった。5. 幕末開港後は、会所貿易が不利になり、商人集団を形成してそれに貿易を担当させる必要が出てきた。幕府の実務官僚がその集団を「商社」と呼んだが、これは英語の Company の訳語であり、そのなかでも特に共同出資の営利企業を指していた。6. 「商社」の創案者は、小栗上野介忠順と目されているが、これは資料的には確定できない。この語は、幕末には公用語として流布した。7. 明治期に入ると、Company の訳語は「会社」に置き換えられた。「会社」はこの時新たに造語されたのではなく、「商社」の語義をヨリ古い別義の単語に置き換えたのである。この切り替えには意図的な推進があったことが推測されるが、推進者がいたとすれば最初でなくても最有力なのは渋沢栄一である。8. 福沢諭吉は、「商人会社」を説いたことで、穂積陳重から、営利企業の意味の「会社」の創案者と目されたが、福沢は単語としての「会社」の創案者ではない。また、「会社」の語義を営利企業に定着させたわけでもない。福沢は訪欧で「商社」の概念を掴んだ後、それを商人の会社と言い換えた見せた。この際の「会社」は蘭学者達が使っていた「会社」である。「商人の会社」は、おそらく『ズーフ・ハルマ』が無意識の下敷きになって出来たのであろうが、商人の集団組織だから、当然に営利企業になる。9. こうして福沢は、蘭学者達の非営利的な「会社」と、幕末の「商社」を換骨脱胎した、明治以降の営利的「会社」とを、無意識に媒介する位置を占めていたことになる。
著者
久木留 毅 相澤 勝治 岡田 藍 徳山 薫平 河野 一郎
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.429-436, 2007-08-01 (Released:2007-09-14)
参考文献数
31
被引用文献数
3 3

[Objective] This study examined the effects of resting metabolic rate (RMR), sleeping metabolic rate (SMR), and diet-induced thermogenesis (DIT) during acute weight loss in elite male wrestlers.[Methods] Subjects were elite male wrestlers (n=6), who were instructed to reduce the body weight in seven days. RMR, SMR, and DIT were measured by indirect calorimetry in normal training phase and after rapid weight loss. Body composition and energy intake were also measured.[Results] Energy intake significantly decreased in rapid weight loss phase (P<0.05). After the rapid weight reduction, percent reduction of body weight (-4.4%), fat mass (-17.5%), and total body water (-3.2%) significant compare with that of normal training phase (P<0.05). RMR(-15.2%), and SMR (-11.8%) significantly decreased during acute weight loss (P<0.05). DIT(-89.4%) tended to be decrease during acute weight loss.[Conclusion] The present study suggests that rapid weight loss in elite male wrestlers causes decreases in RMR and SMR.
著者
加藤 信子 鷲見 孝子 上野 良光
出版者
東海学院大学・東海女子短期大学
雑誌
東海女子短期大学紀要 (ISSN:02863170)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.49-56, 1993-04
被引用文献数
1

油脂の加熱による酸化をごま油の抗酸化力で抑制するには,サラダオイル・てんぷら油・コーン油にどの程度の割合で添加すればその効果を得ることができるか種々な配合油脂を調製し,180℃で5分間および10分間加熱した時の油脂の酸化を過酸化物価(POV)の測定によって検討した。 1.サラダオイル・てんぷら油・コーン油の各単独油脂の加熱によりPOV値と2%,5%,7%,10%のごま油を添加して過熱した油脂のPOV値に大きな差はなく,10%以下のごま油添加では油脂の酸化防止は低かった。 2.サラダオイルに対しては,50%以上のごま油配合で酸化は抑制された。この効果はてんぷら油より高かった。また,加熱時間が短時間であるほどごま油の酸化抑制効果は高い。 3.てんぷら油に対しては,50%以上のごま油配合で酸化は抑制されるが,その効果はサラダオイルと比較して低かった。また,加熱時間が長時間になれば,さらに抑制効果は低くなった。 4.コーン油に対しては,50%ごま油添加で最も酸化安定性が高い油脂となり,ごま油より酸化されなかった。ごま油添加量10%のとき最も酸化し,90%でごま油とほぼ同様となり,添加量が油脂の酸化防止に影響した。 また,ごま油・コーン油(1 : 1)は5分加熱より10分間加熱の方に酸化防止の効果が,強く現れた。 5.ごま油とコーン油のアルカリ安定脂質の含量はサラダオイル・てんぷら油より多く,脂肪酸含量はサラダオイル・てんぷら油より少なかった。ステロールは4油脂いづれにも含有された。 今後,アルカリ安定脂質,脂肪酸組成,ステロール組成などについても検討したい。

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著者
茅根 創 池田 安隆 川島 隆幸 狩野 直和 尾中 敬
出版者
東京大学大学院理学系研究科・理学部
雑誌
東京大学理学系研究科・理学部ニュース
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.6-8, 2007-05

2004年スマトラ島沖地震で干上がったサンゴ礁/史上最高の蛍光量子収率を示すアゾベンゼンの合成/「あかり」が見た星生成領域、終末期の星、超新星残骸、活動銀河核、遠方銀河
著者
田中 敦士
出版者
一般社団法人 Asian Society of Human Services
雑誌
Asian Journal of Human Services (ISSN:21863350)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.72-85, 2014-10-30 (Released:2014-10-30)
参考文献数
12

In this research was investigated that trainers’ attitude toward people with intellectual disabilities during driving license exam, through questionnaire survey on 79 specific driving school in Chiba and Okinawa. As a result, it is clarified that there is a lack of consideration for training and no cooperation between people with intellectual disabilities and trainers. Therefore, putting systems for understanding of each other, getting support by family and making up economical support systems from government are all needed in order to people with intellectual disabilities getting license and make it better for safe driving after obtention. Consequently, next problems are to develop special textbook, to support for examination, to analyze risk of car accidents, to put insurance systems and laws of economical help and to investigate of best way to cooperate with everyone around people with intellectual disabilities to rise the chance to obtain the license.