1 0 0 0 文芸春秋

出版者
文芸春秋
巻号頁・発行日
vol.44, no.5, 1966-05
著者
小澤 徹 小池 茂昭 田中 和永
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009-04-01

物理現象を記述するモデル方程式として、場の古典論、流体力学、プラズマ物理をはじめ様々な分野に現れる重要な非線型楕円型偏微分方程式について、今まで個別に用いられることの多かった変分解析、非線型常微分方程式、粘性解理論の手法を総合的に駆使することにより、定在波の安定性や爆発現象を深く説明する方法論を確立し、さまざまな応用を見出した。
著者
大西 誠一郎 Ohnishi S.
出版者
名古屋大学教育学部
雑誌
名古屋大學教育學部紀要 (ISSN:03874796)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.35-39, 1965-10-10 (Released:2006-01-06)

国立情報学研究所で電子化したコンテンツを使用している。
著者
NISHIMURA Masanari
出版者
関西大学文化交渉学教育研究拠点(ICIS)
雑誌
東アジア文化交渉研究 = Journal of East Asian Cultural Interaction Studies (ISSN:18827748)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.433-457, 2010-03-31

中部ベトナムの後期チャンパ王国(約10世紀以降)で用いられた瓦(尖状平瓦)について、クアンナム省とビンディン省を中心に資料紹介を行い、形態分類と編年的見通しを提示した。そして、周辺地域の資料を提示し、東南アジア大陸部を中心に類似例が存在するものの、チャンパの当該期の瓦は、その祖形がマレー半島西岸のThung Tuk遺跡などに存在し、さらにはインド方面へ遡源していく必要があることを指摘した。またチャンパの瓦がホアルー時代以降の北部ベトナムにも伝播して、変容していることも指摘し、こうした建築材の伝播・変容には建築文化自体の伝播・変容が関わっていると考える。
著者
安岡 利恵 熊野 達也 森田 修司 満尾 学 小田 俊彦 川端 健二 門谷 洋一
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.129-134, 2005-01-25 (Released:2009-05-26)
参考文献数
37
被引用文献数
2 3

急性腹症で発症した小児大腸癌の1例を経験したので,本邦における小児大腸癌の検討と併せ報告する.症例は15歳,男児.腹痛,嘔吐,発熱を主訴に来院. CT上,多量の腹水とfree air認めたため,消化管穿孔による汎発性腹膜炎との診断の下,緊急手術施行.術中所見で直腸癌穿孔に伴う癌性腹膜炎と診断し, Hartmann手術を施行した. Rsの全周性びまん浸潤型腫瘍の組織学的所見は, mucinous carcinoma, se, n(+), ly1, v1, H0, P3, M0, stage IVであった.術後10日目より化学療法(5FU/leucovorin)を開始するも,癌性腹膜炎は進行し,術後157日目永眠.小児大腸癌は予後不良であり,小児であっても大腸悪性腫瘍の存在を念頭に置き精査し,早期発見・治癒切除に努めることが重要であると考える.
著者
吾妻 重二
出版者
関西大学文化交渉学教育研究拠点(ICIS)
雑誌
東アジア文化交渉研究 = Journal of East Asian Cultural Interaction Studies (ISSN:18827748)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.79-104, 2008-03-31

This paper adds consideration to the issue of the burial systems, funeral services, the erecting of family mausoleums, and ancestral rituals, etc., that are based on the practice of Confucian rituals – especially those related to funerals and festivals – by Mitsumasa Ikeda (1609‒1682) in Bizen Okayama clan. The funeral and ancestral rituals that Ikeda implemented were based on Zhu Xi’s Family Rituals (家礼), they also referenced Qiu Jun’s Wengong Jiali Yijie (文公家礼儀節) and adopted Jigu Dingzhi (稽古定制), both Ming Dynasty writings, in order to suit his position as a daimyo (大名) feudal lord. Attention is also brought to the fact that when the shinshoku-uke (神職請) Shinto priest system was implemented in place of the tera-uke (寺請) temple certifi cate system due to the strong critique on Buddhism at the time, Ikeda distributed a funeral and ancestral manual based on Family Rituals to the people of his fi efdom and promoted Confucian rituals. What is also important here when taking into account the actual circumstances of the acceptance of Confucian rituals in Japan is the fact that the Yangming School, including Kumazawa Banzan, supported these resolute actions by Ikeda, emphasized the necessity for practice of Family Rituals, so the differences between the study of Zhu Xi’s writings and the ideas of the Yangming School sects did not become an issue.
著者
続 有恒 Tsudzuki A.
出版者
名古屋大学教育学部
雑誌
名古屋大學教育學部紀要 (ISSN:03874796)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.193-216, 1964-09-25 (Released:2006-01-06)

国立情報学研究所で電子化したコンテンツを使用している。
著者
戸井田 宏美
出版者
千葉大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2005

湿潤な日本において,現在の細霧冷房法は細霧噴霧速度や噴霧時間は気象条件などによらず一定であり,日射強度や換気速度を考慮して可変とする制御法の検討が十分でないために,温室内気温の不均一化,高相対湿度,蒸発しきれなかった水滴の植物表面への付着による病害発生などの問題がある.本年度は,比較的小規模の実験用植物生産施設において,上記の問題を解決することを目的として(1)細霧発生方法の改良および(2)細霧発生量制御方法の改良について,短期的な効果の検証を行った.(1)日射のない室内において細霧ノズルに直径10cmの送風装置を取り付けて強制通風した場合の細霧蒸発率は,従来の送風装置のない場合に比べて1.6倍の95%となり,ノズル直下の気温水平分布もより均一となった.送風装置の効果により発生させた細霧のほとんどが蒸発するために,植物に未蒸発細霧が付着して病害が発生する危険を回避でき,細霧冷房システムを連続運転できることが示された.(2)従来,細霧冷房システムは未蒸発細霧を蒸発させるためにタイマー制御による断続噴霧を行うが,これにより気温および相対湿度の急激な変動が起こる.また,噴霧速度および噴霧時間は気象条件などによらず一定であった.(1)の細霧冷房システムを小型植物生産施設内に設置し連続運転を行った結果,未蒸発細霧の植物表面への付着は見られず,施設内気温を外気温より常に低く維持でき,かつ,気温および相対湿度の変動を減少させることができた.さらに,噴霧速度を可変とすることにより気温低下幅も可変となったため,連続運転制御法を確立するための基礎知見を得ることができた.植物生産施設内気温の測定には,通常,通風乾湿球計を用いるが,細霧冷房システム運転中には未蒸発細霧がセンサー部に付着して,実際の気温よりも低い数値を計測してしまう問題があることが本研究中に明らかとなった.そのため,細霧冷房システム運転中の正確な気温の測定法についても検討を行い,新たな測定法を提案した.
著者
吉田 敏 位田 晴久 下町 多佳志 川満 芳信 尾崎 行生 渡部 由香 安永 円理子
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

西南暖地の施設園芸における冷却技術の普及を阻む原因が,冷却技術を導入したときの温度効果を定量的に評価する手法や,冷却がもたらす植物生育,収量および収穫物の品質への影響について,生産現場に十分な理解が得られていないことにあるとの観点から,環境制御施設,模擬実験温室および実際の生産現場において施設冷房・冷却を導入した場合の環境観測および植物生体計測に関する検討を行い,冷却がもたらす生産性向上効果について評価した.
著者
佐瀬 勘紀 石井 雅久 池口 厚男 蔵田 憲次 兼子 敬子
出版者
独立行政法人農業技術研究機構
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

半乾燥地域に位置するアリゾナ大学環境調節農業センター(CEAC)のポリエチレン二重被覆温室を用いて環境測定を行った結果、自然換気と組み合わせた細霧冷房において、一定の設定気温の下で、換気量を減少させると湿度が増加し、細霧冷房のための水消費量が減少することを明らかにした。これは熱収支に基づく予測と一致した。また、気温と湿度を同時に制御する簡易な制御アルゴリズムを考案し、トマト栽培下で動作させた結果、目標の気温24〜25℃、相対湿度65〜75%にほぼ制御できることを明らかにした。水消費量の抑制は、湿度が高まることによる蒸散量の減少が大きく寄与した。一方、細霧冷房時の環境の分布特性も明らかとなり、特に、気流について、温室中央では上方に、周囲では内側あるいは下方に向かう気流が発生していることが明らかとなった。光質については、赤色/遠赤色比が、畝間では下方にいくに従って徐々に減少し、群落内では中央高さで最小となった。対象温室は天窓の開口部が屋根自体が開閉するという特徴があり、自然換気の基本的特性を解明するため、縮尺1/15の模型を用いて風洞実験を行った。その結果、天窓の開口部が風下に面し、両側窓が開放されている場合、温室内平均気流速やその分布が優れることを明らかにした。天窓の開口部が風上に面している場合は、外気が天窓上端から巻き込むように流入し、温室内に逆流を伴う循環流が形成された。天窓開口部の向きは平均気温には影響しなかったが、開口部が風下に面している場合、温室の中央から風下にかけて高温域が発生した。換気窓開口部への防虫スクリーンの設置の影響は大きく、温室内気流速は設置しない場合の40〜68%まで減少した。これらの結果は、半乾燥地において水使用量を抑制しつつ効率的な生物生産が可能であることを示している。
著者
林 真紀夫 谷 晃
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

細霧システム利用に関する試験を行い、以下の成果が得られた。1.冷房時の温室内環境の把握実用規模の大型温室において細霧冷房時の環境計測を行い、細霧の断続噴霧運転における、温室内の温湿度環境の経時変化の実態を明らかにした。2.換気率解析細霧冷房では、温室の換気率の大小が温湿度環境に大きく影響することから、日本型温室と大型フェンロー温室で換気率測定を行い、実態を把握した。3.運転制御法の検討細霧冷房では一般に断続的細霧噴霧を行う運転制御が行われている。1時間当たりの噴霧量が同じ場合に、どのような細霧噴霧周期が適当かを検討した。その結果、1回当たりの噴霧時間を短くすることで、温湿度変動幅が小さくなり、未蒸発細霧の落下が少なくなることが判明した。4.細霧冷房設計用ソフトウェア開発温室諸元、屋外乾湿球温度、温室内吸収日射量のパラメータを与えることで、温室の換気率および温室内蒸発散量との関係で温室内気温および相対湿度を推定することのできるVETH線図(Ventilation-Evaporation-Temperature-Humidity関係線図)をコンピュータ画面上で描くソフトウェアを開発し、細霧冷房設計に役立てられるようにした。5.薬剤散布における細霧付着の改善細霧システムを利用した薬剤散布において、葉表面および裏面への薬剤付着量を調べた。この結果、葉裏面への付着量は極めて少ないことが明らかとなった。しかし、攪拌扇による空気攪拌によって、葉裏面への付着量が若干増加することが確認できた。
著者
宮地 朝子
出版者
名古屋大学文学部
雑誌
名古屋大学文学部研究論集 (ISSN:04694716)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.1-18, 2010-03-31 (Released:2010-05-21)

This paper examines the syntactic and semantic characteristics of one of the Japanese particles that derived from noun called “hoka”. This particle has various historical and dialectal usages. The usages of the particle “hoka” is comprised of six categories as (1) Outside/different location, (2) The other thing or people (something else/somebody else), (3) A location other than the described location (indefinite), (4) a: Exceptional phrase in the form of “x yori-hoka-ni・・・NEG”, (4) b: Exceptional phrase in the form of “x yori-hoka・・・NEG”, (5) Additional phrase in the form of “x yori-hoka,” (6) Focus particle as Negative Polarity Item. The above mentioned first five categories show syntactic characteristics while the categories of 3, 4, and 5 can be explained as formal nouns. In contrast the type (6) can be explained as particle NPI because of reanalysis in non-existential sentence. Usage of the article “hoka” in semantic functions of noun phrase has some differences depending on its grammatical position in a sentence. We can consider the usages of categories No 1 and 2 as Referential Noun; No 3, 4, and 5 as Non-referential Noun Phrase. Furthermore, the category No 3 can be described as predicate nominal; No 4 as Quantified Noun Phrases; and No 5 as Noun Phrases Involving a Variable (NPIV) (Nishiyama 2003). In conclusion various usage of the particle “hoka” can be explained by diversity of nominal and its syntactic position.
著者
安田 喜憲 BOTTEMA S. VAN Zeist W. 大村 幸弘 ZEIST W. Van
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1988

1988年から1990年の3カ年のオランダ・グロ-ニンゲン大学との共同研究の結果は、以下のような特筆すべきいくつかの研究成果をえることがてきた。1)巨大な氷河時代の多雨湖の発見:トルコ最大の塩湖トゥ-ズ湖の湖岸から1989年に採取したボ-リングコアのCー14年代測定値は、地表下460ー500cmが23440±270年前、940ー970cmが32300+600ー550年前、1570ー1600cmが35850+1150ー1000年前であった。花粉と珪藻分析の結果,20000年前以前のトゥ-ズ湖周辺はアカザ科やヨモギ属の広大な草原であり、当時の湖は淡水でかつ水位も現在より数メト-ル高位にあったことがわかった。これまで湖岸段丘の分布から氷河時代にはアナトリア高原に巨大な多雨湖が存在したという地形学者らの推定を立証した。2)5000年前の都市文明を誕生させた気候変動の発見:ギリシアのホトウサ湿原、コロネ湿原、カトウナ湿原のCー14年代測定、花粉分析の結果から、、都市文明誕生期の5000年前が気候変動期に相当していることを解明した。5000年前以降の気候の寒冷化にともない、ギリシアやアナトリア高原は湿潤化した。これに反して、メソポタミア低地やナイル川低地は乾燥化した。この乾燥化が人々を大河沿いに集中させ、都市文明誕生の契機を作った。またアナトリア高原の湿潤化はユ-フラテス川下流域に大洪水をもたらした可能性が指摘できた。3)アレキサンダ-大王の侵略を容易にした気候変動の発見:カマンカレホユック遺跡の北西井戸より採取した泥土のCー14年代測定結果と花粉分析の結果はCー14年代2160±50年前の層準を境として、周辺の環境が著しく乾燥化することを明かにした。ミダス王墓がつくられたフリギア時代のアナトリア高原は現在よりも湿った湿潤な気候が支配していた。ところが約2200年前のヘレニズム時代以降、アナトリアは乾燥化した。同じ傾向はシリアやエジプトでもみられた。アレキサンダ-大王がなぜかくも短期間にかつ広大な面積を征服できたかは、人類史の一つの謎であるが、この気候の乾燥化がトルコや小アジアの人々の生活を困窮させアレキサンダ-大王が侵略する以前にすでに小アジアからインダス地域の人々は疲弊していた可能性がたかい。それゆえに征服も容易であったのではないかと言う点が指摘できた。4)消えた森林の発見:アナトリア高原やギリシアには、かってナラ類やマツ類を中心とする立派な森が存在したことが、ギリシア・トルコの花粉分析の結果明白となった。またシリアのエルル-ジュ湿原の花粉分析結果はレバノンスギの森が3000年前まで存在したことを解明した。これらの森は全て人間の森林破壊の結果消滅した。5)研究成果の報告会:1991年2月22ー24日、中近東文化センタ-カマンカレホユック遺跡の調査成果報告会を実施した。公開報告会には200名を超える一般参加者があり、大村はカマンカレホユック遺跡の考古学的発掘成果について、安田はアナトリア高原の古環境復元の試みについて発表した。1991年2月27日には国際日本文化研究センタ-での「Environment and Civilizations in the Middle East」と題した公開シンポジウムを実施した。シンポジウムには北海道から九州まで52名の研究者の参加があり、ZEISTは“Origin and development of plant cultivation in the Near East",BOTTEMAは“Vegetation and environmentin the prehistoricーearly historic period in the Eastern Mediterranean"の発表をおこない安田が総括した。6)単行本の刊行:研究成果をいくつかの論文に発表するとともに、研究成果を広く一般に普及するため単行本を刊行した。安田は5冊、大村,ZEIST,BOTTEMAはそれぞれ各一冊刊行した。なを公開シンポジウムの報告はJapan Reviewに特集として英文で報告の予定である。
著者
杉浦 広隆
出版者
新潟大学
雑誌
新潟医学会雑誌 (ISSN:00290440)
巻号頁・発行日
vol.119, no.10, pp.600-610, 2005-10-10

【背景】MemCalc法により短時間の心拍RR間隔データからの心拍変動解析が可能となったが,その有用性に関する報告は限られている.抗コリン作用のあるdisopyramideは迷走神経活動が関与する心房細動に有用とされているが,心拍変動に与える影響は明らかではない.QT延長症候群の心室性不整脈発生には自律神経の関与が報告されており,QT延長症候群のtype3モデルでは迷走神経刺激中止後の心拍上昇時に心室性不整脈を認めるが,この時相での自律神経バランスの意義も明らかでない.【方法】実験1:開胸麻酔犬(n=8)を用いて,迷走神経刺激中,刺激中止後,及び交感神経刺激時の心拍変動を短時間の体表面心電図RR間隔データをもとにMemCalc法で計算し,disopyramide(1mg/kg)の影響を検討した.実験2:QT延長症候群type3モデルを作成し,迷走神経刺激中止後にみられる心拍変動期の不整脈発症と自律神経活動の関連を検討した.【結果】実験1:心拍変動での低周波成分パワー(LF:ms^2)及び高周波成分パワー(HF:ms^2)は,迷走神経刺激により中央値(25パーセンタイル-75パーセンタイル)で0.67(0.39-2.83)から35.1(5.04-114)(p<0.001),及び0.60(0.44-0.97)から28.4(4.04-63.2)(p<0.001)へ有意に増加した.一方,LF/HFは交感神経刺激により2.47(1.71-3.24)から10.5(7.99-24.6)へ有意に増加したが(p=0.036),迷走神経刺激では有意な変化を認めなかった.DisopyramideによりLF成分は0.48(0.37-1.37)から0.31(0.07-0.55)(p=0.036),HF成分は0.43(0.17-1.27)から0.10(0.06-0.41)(p=0.012)へ,それぞれ減少したがRR間隔とLF/HFは有意な変動を認めなかった.迷走神経刺激中止後の心拍変動期にLF/HFは1.17(0.58-2.28)から45.1(21.9-86.4)へ有意に増加した(p<0.001).実験2:迷走神経刺激中止後の心拍数の上昇期には,体表面心電図のT波交代現象が認められ,心室性不整脈が22%(2/9)で発症した.【結論】DisopyramideによりLF及びHFの減少が認められ,RR間隔に現れない抗コリン作用と考えられた.QT延長症候群type3モデルでは迷走神経刺激中止後にT波交代現象と心室性不整脈が発生するが,この時間帯ではLF/HFがコントロール状態よりも高値であり,本症候群の不整脈の発生背景に交感神経の活動性が関与している可能性がある.MemCalc法を用いた短時間心拍変動解析により,不整脈発生と自律神経活動に関する検討が可能であり,臨床応用が期待できる.
著者
石川 清
出版者
愛知産業大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1992

イタリア・ルネサンス期の建設活動における職人組織の様態を把握するために,まず初期ルネサンスに職能としての建築家像が形成されていく過程を明確にした.十四世紀フィレンツェのドメニコ派修道院サンタ・マリア・ノヴェッラでは修道院内の職能分離によって早くから呼称されていた「建築家」がその技術的な水準の高さから,やがて公共建築や大聖堂のヴォールト架構等の助言者として修道院外においても活躍するようになる実態を明らかにし,十五世紀前半においては,世俗の職人組織の中から,異なったタイプの3人のマエストロ,フィリッポ・ブルネレスキ,ミケロッツォ・ディ・バルトロメオ,アントニオ・ディ・マネット・チャッケリがが「建築家」と呼ばれるようになったかを,彼らが携わった建築現場の様態を示す建設記録とルネサンス期の市民的人文主義者による建築に対する論述の中に現れる記述表現の変遷を文献学的な側面から検証し,職人組織の中でのその職能の分化過程に見出し,建設職人組織の様態の相貌を明らかにする手掛かりとした.中世期の都市停滞期に喪失した建築家像が十五世紀に入ってアルベルティの『建築論』の中で再び構築されていったが,同時に現在なおイタリア都市の性格を物質的に規定し続けている建築の文化的地平が都市機能充実の気運によって営まれた建設活動の中で培われた技術と職人組織とその建設法のシステム化によって支えられたことをさらに裏づけた.ルネサンスの都市化現象に通底した芸術生産活動における組織編成の変容とその過程を射程することによって,ルネサンス期の芸術文化,都市文化の相貌を正確にすることとした.イタリアの中世末期から初期ルネサンス期にかけての職人工房における組織的制作の手順を多次元的に把握することを試みた.
著者
張 文青
巻号頁・発行日
pp.105-122, 2012-03
著者
武岡 春奈 田中 里枝 林 武文
出版者
関西大学総合情報学部
雑誌
情報研究 : 関西大学総合情報学部紀要 (ISSN:1341156X)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.21-37, 2011-01-21

色立体視は,背景と2 色以上の領域で構成される平面パタンにおいて,特定の色が進出あるいは後退して知覚される現象である.そのメカニズムは,眼球光学系の軸外色収差に基づく両眼立体視とされているが,それだけでは十分に説明出来ない現象も報告されている.本研究では,軸外色収差による両眼視差量を実験により求め,背景色による奥行きの逆転現象と奥行き量の変化について調べた.また,精密模型眼を用いて光線追跡による数値シミュレーションを行い,実験結果を定量的に説明できることを示した.さらに,自然視の色立体視で顕著な個人差の原因について,シミュレーション結果に基づく考察を加えた. Chromostereopsis is a visual perception where a specifi c color is perceived closer to or farther from the observer than the other colors in a plane pattern that consists of at least two colors with a background color. The mechanism responsible for this phenomenon is considered to be binocular stereopsis by chromatic aberration of the eyeball optical subsystem; however, previous quantitative evaluations have been unsatisfactory. In this paper, we experimentally and numerically study a reversal phenomenon of the depth by background color and a change in the magnitude of this depth. Furthermore, we discuss individual differences in the depth perception in the chromostereopsis on the basis of numerical simulation results.