著者
杉森 健 三武 裕玄 佐藤 裕仁 小栗 賢章 長谷川 晶一
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.61, no.11, pp.1697-1707, 2020-11-15

VRメタバースやVTuberなどのように,モーションキャプチャデバイスを用いてリアルタイムにアバターを操作する機会が増えるにつれて,アバター同士接触することでコミュニケーションをとったり,アバターと物体が衝突する機会が増えている.しかし,現状ではアバター同士やアバターと物体が接触しても貫通してしまうか,不自然な動作になってしまう.そこで本研究では物理シミュレーションを用いて自然な接触動作を自動生成する.その際に問題となる追従遅れをフィードフォワード制御により解決する.提案手法により,これまでできなかったアバター同士やアバターと物体の自然な接触が可能であることを示す.さらに,提案手法ではこれまで一般的であった接触している振りの演技が不要になることで,演者の負担が軽減されることを示す.
著者
澤 宗則 南埜 猛
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究では、日本におけるインド人移民社会とネパール人移民社会を比較しながら、「空間的実践」を分析することにより、エスニシティと空間との関係性を明らかにした。急増するネパール人経営の「インド料理」は、日本人から見れば「インド料理」であるが、「伝統的インド料理」の枠組みを超え、日本人の味覚にあわせて現地化する。安価な食材を使用し、サラリーマン、大学生や家族連れ向けに昼は安い定食屋、夜は安い居酒屋の位置づけである。これに対してインド人経営者が「これは全くインド料理ではない」と批判するなど、両者は単に同一市場における競合だけではなく、アイデンティティに関する対立となっている。

696 0 0 0 OA 貝と接着

著者
松本 恒隆 酒井 五十治
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.8, pp.488-494, 1976-08-25 (Released:2009-05-25)
参考文献数
7
被引用文献数
1
出版者
国立国会図書館
巻号頁・発行日
vol.2022年, no.(739), 2022-11-01

148 0 0 0 OA 急性GVHDとTMA

著者
松本 公一 加藤 剛二
出版者
特定非営利活動法人 日本小児血液・がん学会
雑誌
日本小児血液学会雑誌 (ISSN:09138706)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.90-95, 2005-04-30 (Released:2011-03-09)
参考文献数
18

血栓性微小血管障害 (thrombotic microangiopathy;TMA) は細小動脈を主体とする微小血管内皮障害に基づく虚血性, 出血性の臓器障害である.造血幹細胞移植の現場において, しばしば急性GVHDとTMAは混同され, 鑑別が困難な場合も少なくない.とくに近年, 消化管TMAという概念が導入されて以来, いっそう両者の境界は混沌としている.これは急性GVHDの診断基準が, TMAの存在を抜きにして設定されていることと, TMAの診断基準が明確でないことが影響しているものと考えられる. TMAの危険因子として, FK 506などの免疫抑制剤, 非血縁者間移植, HLA不適合血縁者間移植, ABO不適合移植, VODがあげられる.完成されたTMAの治療は困難であるので, 大腸生検などにより早期にTMAの存在を認識し, 過度の免疫抑制を控えることが移植成績の向上につながると考えられる.

2193 0 0 0 OA 缶詰の内面腐食

著者
宮崎 俊三
出版者
一般社団法人 日本鉄鋼協会
雑誌
鉄と鋼 (ISSN:00211575)
巻号頁・発行日
vol.73, no.3, pp.427-436, 1987-03-01 (Released:2010-01-18)
参考文献数
87
被引用文献数
2 1
著者
岩﨑 淳也 畦上 恭彦
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.1-10, 2021-05-31 (Released:2021-11-30)
参考文献数
22

過剰模倣(overimitation)とは、「ある行為を示された際、最終的な目的を達成するために必要な動作だけでなく、不必要な動作も模倣すること」と定義される。本研究では、動作模倣課題を自閉症スペクトラム障害(ASD)児および定型発達(TD)児に行い、両群に差があるかを検討した。また過剰模倣と適応行動との関連について調べるため、S-M社会生活能力検査を実施した。対象は6~9歳のASD児20名、対照群はTD児15名であった。通常の動作の模倣成績においては両群の模倣生起数に有意差は認められなかったが、過剰模倣ではASDの模倣生起数がTD群に比し有意に少なかった。また過剰模倣生起数と適応行動との間に有意な相関を認めた。ASD児の過剰模倣の低さは、他者との共感性の低さといった社会的動機付けの弱さと関連している可能性が示された。また過剰模倣の低下は、所属集団における適切な振る舞い方の習得を困難にし、ASD児の社会適応の阻害要因となる可能性が示された。
著者
松永 泰行 Colak Vakkas 貫井 万里 横田 貴之 鈴木 啓之
出版者
東京外国語大学
雑誌
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
巻号頁・発行日
2021-10-07

本研究計画は、国家・政治と宗教的ナショナリズムの研究で未開拓な分野といえる、多民族多宗教国家下で競合するナショナリズム運動間の共存の様態と、その様態において文化ナショナリズムが果たしうる役割を、現地調査を通じた実証研究で明らかにする。本研究を通じ、主に政治的ナショナリズムの諸相に焦点を当てる既存研究の限界を克服し、そこで不問とされている前提を実証的に検証する。
著者
Hiroaki Kawano Tetsufumi Motokawa Hirokazu Kurohama Shinji Okano Ryohei Akashi Tsuyoshi Yonekura Satoshi Ikeda Koichi Izumikawa Koji Maemura
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
Internal Medicine (ISSN:09182918)
巻号頁・発行日
pp.9800-22, (Released:2022-05-31)
参考文献数
26
被引用文献数
5

A 60-year-old Japanese woman was hospitalized for cardiogenic shock 24 days after receiving the second dose of the COVID-19 BNT162b2 vaccine. Impella-CP left ventricular assist device implantation and venoarterial peripheral extracorporeal membranous oxygenation were immediately initiated along with inotropic support and steroid pulse therapy, as an endomyocardial biopsy specimen showed myocarditis. Three weeks later, her cardiac function had recovered, and she was discharged. An immune response associated with the presence of spike protein in cardiac myocytes may be related to myocarditis in the present case because of positive immunostaining for severe acute respiratory syndrome coronavirus 2 spike protein and C4d in the myocardium.
著者
宮本 顕二 宮本 礼子
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.186-190, 2014-08-31 (Released:2015-11-13)
参考文献数
8

わが国では終末期の高齢者が経口摂取困難になると経管栄養(胃ろう)や経静脈栄養などの人工栄養を行うことが多い.しかし,筆者らが現地調査したスウェーデン,オランダ,オーストラリアではそれらは行われず,アメリカ,オーストリア,スペインでもまれにしか行われていなかった.これらの国では高齢者が終末期に食べられなくなることは自然なことであり,人工栄養で延命を図ることは倫理的でないと考えられている.
著者
寺町 晋哉
出版者
公益財団法人 日本学術協力財団
雑誌
学術の動向 (ISSN:13423363)
巻号頁・発行日
vol.27, no.10, pp.10_76-10_83, 2022-10-01 (Released:2023-02-23)
参考文献数
25

2021年度現在、高校卒業後に4年制大学へ進学する者の数は男子57.4%、女子51.3%であり、二人に一人以上が進学しているが、実は二つの「足枷」が存在している。一つは非大都市圏、いわゆる「地方」であり、どの地域に在住しているかによって大学進学のハードルは異なっている。もう一つは「性別」であり、全国の大学進学率において女子が男子を上回ったことはこれまで一度もなく、特に「地方の女子」は「地方と性別」双方が大学進学の「足枷」になる。 大学進学には社会的諸条件が影響するため、「大学進学はやる気さえあれば誰でも可能」といった個人の努力や意志の問題へ矮小化してはならない。大学という進路選択が開かれた社会を目指すためにも、「足枷」をなくしていく政策や支援制度が必要である。その一方で、大学進学を選択しなくとも安心して暮らせる社会を基盤に据えることも重要である。