著者
シンショウゲツ 三竹一馬 前川寛 石原進
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告モバイルコンピューティングとユビキタス通信(MBL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.25, pp.1-8, 2014-03-07

近年、高度成長期に整備した都市インフラの老朽化が目立ち、道路陥没等の多くの事故が発生している。下水管の維持のために、人による目視および高価なロボットを使った方法による調査が行われるが、いずれも高いコストが伴ってしまう。筆者らはセンサノードを用いた下水管の検査を安価に行うシステムとして 「流れるセンサネットワーク」 を提案している。このシステムではカメラ等のセンサを搭載した小型無線センサノードを複数台下水路に流す。各ノードはセンシング時にのみ起動し、定期的に近隣ノード群から選出される代表ノード (CH) に管内の観測データを転送する。代表ノードは次の代表ノード選出まで起動を続けて他のノードからの観測情報を収集し、マンホールに設置されたアクセスポイント (AP) へ収集したデータを転送する。代表ノードの電力枯渇や故障により、代表ノードが収集したデータの損失が起こる可能性がある。本論文では流れるセンサネットワークのための 3 つのバックアップ方法 (i) Self backup、ii) Overhearing backup、iii) Assigning backup) を提案し、そのシミュレーション評価について述べる。シミュレーションの結果、故障がなく、初期電力が少ない場合、Self Backup のみがバックアップを用いない流れるセンサネットワークより多くのデータを回収できることが分かった。また、ノードの故障がある場合、Self BackupとAssigning Backup が効果的であり、特に故障率が高い場合に Assigning Backup の効果が大きいことが分かった。
著者
植田 康孝
出版者
江戸川大学
雑誌
江戸川大学紀要 = Bulletin of Edogawa University
巻号頁・発行日
no.27, pp.35-85, 2017-03

日本は,面積は世界60 位に過ぎないが,人口は世界10位,GDPはいまだ世界3位であり,「大きな力を持つ小さな島国」である。しかし,同じく小さな島国であるニュージーランドと日本の国民生活の質を示す「一人当たり名目GDP」は逆転し,年々その差を拡げつつある。伴い,多くの変化が見られるようになって来た。日本とニュージーランドは対極にあることが分かる。日本が貧しくなっているならば,ニュージーランドは豊かになっている。英国EU離脱や米国トランプ大統領就任が続く中,移民を上手く受け入れ自由貿易を推進するニュージーランドは今や「世界を元気づけ幸福に出来る唯一の例外」である。 ニュージーランドでは,2016年12月,49.5% という高い国民支持率を得ながらジョン・キー首相(1961 年8 月9日生まれ,55 歳)が「今が引き際」と辞任(政界引退)を表明し,副首相兼財務相のビル・イングッシュ氏にその座を禅譲する潔さが話題となった。一方,日本は,東京五輪準備で元首相が影響力を行使するなど,高度経済成長の頃を夢見て,客観的な判断を怠る姿を露呈した。日本の凋落は,幻想に縛られ,時代の転換期に付いて行けなくなっている前世代がもたらす「老害」に他ならない。「21 世紀に生きているのに,20世紀から抜け出せない感覚を抱いている」世代は,若い世代に居心地の悪さを与える。日本の若者は,職業が安定せず年金がもらえない不安があり,賃金も低いまま放置されている世代である。将来に不安があるため,晩婚化が進み社会に少子化をもたらす。民主主義はその参加者により決まるが,わが国が抱える病理は,参加者の大半が高齢者になっている点である。高齢者は自らの世代を最優先に考えて行動するため,年少世代が貧乏くじを引く羽目に陥いる。 2016 年末,テレビドラマ「逃げるは恥だが役に立つ(逃げ恥)」が若者を中心に人気沸騰したが,25 歳大学院修了で働きたい意欲を持つ主人公「森山みくり」(新垣結衣)が派遣切りされ月給19万4,000円で「家事のプロ」を目指さなければならない,「就職難」「晩婚化」という日本の若者が抱える現代事情を反映させたことが,広く「共感」を呼んだ。若者世代は社会や他人から必要とされたいアイデンティティ欲望を強く持つが,高学歴で「できる」若者が,「できない」高齢者の割を食う構図にあり,生き難いと感じる社会になっている。主人公が「ああ,誰にも必要とされないって,つら~い」とため息を付くところから,作品は始まった。 同じく大ヒットした「君の名は。」は,女子高生・三葉(上白石萌音)と男子高校生・瀧(神木隆之介)の「入れ替わり」という超常現象で結び付いた恋愛関係が山深い町に住む人々を100 年に1 度の彗星が近付く巨大災厄から救う大きな力になる。若者世代が活躍する場が狭められている日本において,「社会に役立つ存在になりたい」「他人から必要とされたい」という2つの欲求を同時に成就させる過程が若者世代の心を捉えた。 バブルを知らず大きな災厄のみを体験して来た若者世代は「もう日本は経済成長せず,下り坂を転がり続ける」と感づいており,「日本はどうなってしまうのか」と壮大な不安の只中にいる。東京五輪も無責任な高齢者たちが場当たり的に事を進める茶番を繰り広げ,大手メディアからの「みんなで」応援しようという「同調圧力」は悽まじい。推進するはずであった大手広告代理店は24歳の新入社員を過重労働やサービス残業,セクハラやパワハラで自殺に追い込んだ。SMAP が解散に至るまでの経緯は,若い挑戦者が年長者や既存システムにすり潰されて行く姿を映し出した。新しい時代を築くためには新しい発想が不可欠であり,若者世代が主役となるべきであるが、日本は若者世代が活躍する場が極めて狭い社会となっている。 「老人大国」日本と「若者の国」ニュージーランドでは将来性に大差があり,今後更に格差が拡がる見込みである。
著者
吉末 竜也 中村 一男 劉 暁龍 長谷川 真 徳永 和俊 御手洗 修 図子 秀樹 花田 和明 藤澤 彰英 出射 浩
出版者
電気・情報関係学会九州支部連合大会委員会
雑誌
電気関係学会九州支部連合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.1-2, 2011

核融合発電では、プラズマの位置・形状制御が重要である。九州大学のプラズマ実験装置QUESTで扱うプラズマは上下方向に引っ張られるため縦長となる。そのため、垂直方向にプラズマが不安定である。これを安定化するために、高速で応答する電源が必要となる。本研究では、逆電圧を考慮して、IGBTとフリーホイールダイオードを組み合わせたものを逆直列に繋ぎ、1つのスイッチとする。それらを合計6個用いて、3相‐単相変換を行うマトリクスコンバータとする。それを、FPGAと組み合わせて入力側力率を1にし、出力電圧を任意波形に変換する実験等を行う。高速・高効率で動作し、高調波の少ない電源をQUESTに適用するために検討していく予定である。
著者
向井田 善朗 熊谷 智義 広田 純一
出版者
農村計画学会
雑誌
農村計画学会誌 (ISSN:09129731)
巻号頁・発行日
vol.18, no.18-suppl, pp.31-36, 1999-11-20 (Released:2011-04-13)
参考文献数
11

Folk museums of which functions are to collect, storage, display, research and educate local cultural and natural heritage, can contribute to make local people find the values of the countryside, to generate their feelings of pride and attachment to it, and to promote revitalization of rural community.We analyzed potentials of folk museums on these functions by questionnaires and case studies in Iwate Prefecture. The results are that the folks museums now don't have enough abilities to contribute to revitalization of rural community because of poor management systems, shortage of stuffs and budget, and lack of philosophy.
著者
岡野 邦彦 小川 雄一 飛田 健次
出版者
The Institute of Electrical Engineers of Japan
雑誌
電気学会論文誌. B, 電力・エネルギー部門誌 = The transactions of the Institute of Electrical Engineers of Japan. B, A publication of Power and Energy Society (ISSN:03854213)
巻号頁・発行日
vol.130, no.4, pp.395-398, 2010-04-01
参考文献数
7
被引用文献数
2

This paper describes a prospect toward electric power production by the Fusion energy. In the first part of the paper, a principle of TOKAMAK system which is the successful magnetic-confinement-systems for fusion reactors are shown, and then the ITER project based on TOKAMAK and the present status of ITER is reviewed. In the remainder of the paper, a roadmap for fusion energy and conceptual designs of Demonstration reactors are briefly described.
著者
関 秀司 鈴木 翼 庭 亜子
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.47-51, 2005-03-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
19

微細藻類の増殖速度の光強度依存性について温度依存性と同様の関係が成立するとの仮定に基づき, Arrhenius型光強度関数を導入した増殖速度モデルを提案した。クロレラC. fuscaをモデル系として光強度およびKNO3濃度の異なる条件で増殖速度実験を行い, 実験結果との比較からモデルの正当性を検討した。その結果, 本研究で提案した増殖速度モデルにより低光強度における比増殖速度のシグモイド型光強度依存性を表現できること, および従来の経験式と同等以上の精度で比増殖速度の光強度依存性を予測できることが明らかとなった。
著者
平山 輝男
出版者
日本言語学会
雑誌
言語研究 (ISSN:00243914)
巻号頁・発行日
no.76, pp.p29-73, 1979
著者
松永 洋介
出版者
日本学校音楽教育実践学会
雑誌
学校音楽教育研究
巻号頁・発行日
vol.2, pp.111-118, 1998

In this paper, the auther studied the learning effect when bamboo tubes, but not conventional music instruments, as used to make music. The behavior of children and the works they made were analysed in terms of the following two points: 1) What kind of possibility is found in their music works in point of the elements of music when children use bamboo tubes? 2) What kind of aspect is developed in the behavior of children by using bamboo tubes. For the first point, children expressed themselves by many music elements such as rhythm, texture, tempo, dynamics, timbre, form and melody. For the latter one, children were motivated to make music activity so as to move outside the classroom and to make groups through communication. Thus, it is concluded that bamboo tubes are effective in learning music.
著者
古井戸 良雄 伊藤 茂
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.4, no.4, pp.49-52, 1957

1) ノリに対する竹筒利用の塩安の施肥を行つた。<br>2) ノリの品質及び収獲量に肥料効果を認めた。<br>3) 施肥時期と漁場を選べば経済的に十分成り立つことが分つた。
出版者
日経BP社
雑誌
日経エレクトロニクス (ISSN:03851680)
巻号頁・発行日
no.909, pp.36-39, 2005-09-26

米Apple Computer,Inc.の「iPod nano」と任天堂の「ゲームボーイ ミクロ」。携帯型音楽プレーヤの巨人と,携帯型ゲーム機の雄が,2005年9月に相次いで新製品を発売した(図1)。いずれも従来機種と比べ,機能を保ちながら大幅に小型化した。金属製の筐体を使うなど外観に気を配った点も共通する。早くも大きな反響を呼んでいることも同じだ注1)。
出版者
日経BP社
雑誌
日経エレクトロニクス (ISSN:03851680)
巻号頁・発行日
no.910, pp.53-57, 2005-10-10

2005年9月8日,米Apple Computer,Inc.が携帯型音楽プレーヤ「iPod nano」を発売した。価格は4Gバイト品で2万7800円。誰もがその値付けに驚いた。NAND型フラッシュ・メモリを使いながら,常識では考えられないほど安いからだ。フラッシュ・メモリを使った競合他社の音楽プレーヤは,容量が半分の2Gバイトの製品ですら3万円を超える。iPod nanoの値段がいかに破格かが分かる。
著者
Monk Bruce Ozawa Ken Thomas Michael
出版者
名古屋商科大学
雑誌
NUCB journal of language culture and communication (ISSN:13443984)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.85-102, 2006

Between 2002 and 2005 Nagoya University of Commerce and Business (NUCB) became one of the first institutions in Japan to develop the infrastructure of the wireless university to promote the use of mobile learning. In addition to a wireless campus, all students were given iBook computers and faculty encouraged to develop online courses via the Blackboard Learning System and an Internet-based Enrolment Management System. Following Osaka Jogakuin College and Duke University, April 2005 saw the distribution of Apple's entry-level digital audio player, the iPod shuffle, to all freshmen. Faculty in the Department of English Communication were encouraged to develop courses that required use of the shuffle to support autonomous language learning in the Self-Access Centre (SAC). The use of the shuffle was particularly evident in English reading and listening courses, where undergraduate students were required to use it for assignments on learning materials that would appear in their final examinations. This article is based on a survey of students' experiences in the iPod project. It examines whether the project has been effective in promoting increased exposure to English listening resources within a mobile learning context.
著者
服部 保 南山 典子 小川 靖彦
出版者
植生学会
雑誌
植生学会誌 (ISSN:13422448)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.45-61, 2010-12-25 (Released:2017-01-06)
参考文献数
81
被引用文献数
3

1. 万葉集に詠まれている植物,植物群落,立地条件をもとに同じ歌の中の植物間の組合せや植物と立地条件の組合せおよび植物群落を解析し,万葉時代の植生景観について考察した.  2. 万葉集に詠まれている維管束植物種数は145種(1650首),植物群落数は44(235首)であった.  3. 同じ歌の中の植物間の組合せや植物と立地条件の組合せは現存植生の種組成や植物と立地条件の組合せとほとんど矛盾しておらず,万葉集の写実性の高さが確認できた.  4. 「浜」,「里」,「野」,「山」における植生分布は万葉時代も現在も大きな差はなく,田畑,クロマツ林,チガヤ草原,ススキ草原,ヨシ草原,里山林などが当時広がっていたと推定した.万葉集の「山」は,現在使用されている用語でいうと「里山」に該当すると考えられた.  5. 万葉時代の西日本の暖温帯における「奥山」の植生はスギ・ヒノキ個体群と照葉原生林の混生林か,両者が地形的にすみ分けていた樹林と考えられた.「奥山」は,その後人の土地利用によって里山化が進み,万葉時代の「奥山」は現在では里山放置林やスギ・ヒノキの人工林に変化している.  6. 万葉集にもっとも多く詠まれていた植物はススキクラスの植物であった.しかし,「庭」に植栽されているススキクラスの植物を詠んだ歌が多く,その点を考慮すると,万葉集でもっともよく詠まれた植生景観は「庭」の景観であった.
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1420, pp.42-44, 2007-12-10

2007年、消費者が「最も流行った」と選んだのは、米アップルの携帯音楽プレーヤー「iPod(アイポッド)」(1位)だった。2001年11月に初代機を発売、今では小型で持ち運びやすい「iPod nano(アイポッド・ナノ)」、楽曲をランダムに再生する「iPod shuffle(アイポッド・シャッフル)」などのラインアップを揃え、人気は衰えない。